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エビ投資、会長を逮捕 警視庁、組織的詐欺容疑で

2008年7月2日13時6分

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写真黒岩勇容疑者

 投資会社「ワールドオーシャンファーム」(WOF、破産)がフィリピンでのエビ養殖事業への投資話で巨額の資金を集めた事件で、警視庁などの合同捜査本部は2日、会長の黒岩勇容疑者(59)を組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で逮捕した。ほかに、同社幹部や上級会員ら17人を逮捕する。同社は07年までの約2年間に全国約4万人の出資者から約600億円を集めたとみられ、捜査本部は資金の流れなどの解明を進める。

 調べでは、黒岩容疑者は鹿児島県の男性(64)ら30人から計1億1940万円を詐取した疑い。「だますつもりはなかった」と容疑を否認しているという。

 WOFは01年に設立され、05年から全国各地で説明会を開催。「フィリピンに東京ドーム450個分のエビ養殖場がある」と宣伝したうえで、「1口10万円を出資すれば10日ごとに配当があり、1年で元本の2倍になる」と勧誘し、同年夏から出資金を募った。

 しかし、フィリピンでのエビ養殖事業の実態はないことが捜査で判明。捜査本部は、資金集めが詐欺にあたると判断した。

 配当は06年秋ごろから滞り始め、07年1月、一方的に中止。「エビ養殖場が06年に4回の台風直撃を受けた」などとする説明文書を07年5月に出資者に送った。米連邦捜査局(FBI)は07年2月に同社関係先口座から米国に送金された4千万ドル(約48億円=当時)について、被害者から集めた金を海外に隠匿しようとしたマネーロンダリング(資金洗浄)の疑いで同年4月、凍結した。

 黒岩容疑者はFBIの事情聴取を受けた直後の同年5月、部下名義の偽造旅券でフィリピンに逃亡。同年12月に帰国した際、旅券法違反容疑などで逮捕され、今年5月、執行猶予付き有罪判決を受けた。

 WOFと出資者の契約は、商法で規定する「匿名組合」方式をとっていた。不特定多数からの出資を禁じた出資法による摘発を逃れるためとみられる。

 警視庁は07年7月、関係先約20カ所を家宅捜索。その後、2回にわたりフィリピンに捜査員を派遣した。こうした捜査の結果、WOFが、「代理店」の名称で出資者をランク付けして報奨金を与え勧誘を競わせてきたことを解明。このうち上級会員は違法性を認識していた疑いが強いとして立件対象とした。

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