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2008年7月4日

 イタリアの大聖堂の壁に見つかった日本人の落書き騒動は、「後日談」の方がびっくりする。日本での処罰が厳し過ぎると現地紙が大騒ぎ、と報じられている

落書きよりも、謝罪や処罰がニュースになる。知らんふりを決め込む程度の悪いのが、いかに多いということか。聞けば、落書きで有名な寺院で、それ用のペンを土産に売る不心得者までいるというから、とんだ世界遺産もあったものである

新たな世界遺産を決めるユネスコの会議が始まった。「平泉の文化遺産」も審査される。北陸でも登録を目指す運動が広がっているだけに結果が気になるが、近年は新規登録以上に将来が危ぶまれる「危機遺産」指定や登録抹消が目立つ

有名なのが、世界遺産第1号のガラパゴス諸島。観光客が激増し、島の生態系が壊れている。大聖堂の落書きが果てしなく増殖したような話である

文化を金もうけに使うと、ろくなことにはならない。行儀の悪い連中が、それに拍車をかける。落書き騒動は、謝罪した学生の素直さをたたえる声まで出る始末。悪さをしたのに褒められる。おかしな話である。


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