米大統領:6カ国協議で「拉致」解決に協力強調

日本人記者団(右側)と会見するブッシュ米大統領(左奥から4人目)=ホワイトハウス提供
日本人記者団(右側)と会見するブッシュ米大統領(左奥から4人目)=ホワイトハウス提供

 【ワシントン坂東賢治】ブッシュ米大統領は2日、主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)を前に、ホワイトハウスで毎日新聞など日本メディアと会見した。北朝鮮による日本人拉致問題について「6カ国協議の枠組みが(拉致被害者の)両親や日本の懸念を解決する手助けになる」と述べ、今後も6カ国協議の議題として解決に協力していく考えを強調した。

 大統領は北朝鮮に対するテロ支援国家指定解除決定に、日本の拉致被害者家族らの間で「拉致問題置き去り」の懸念が高まっていることに理解を示した上で、「米国が関心を失い始めたということではない」と強調した。

 その上で、北朝鮮が核廃棄プロセスや拉致問題解決で非協力的な場合は「(6カ国協議の)パートナーと協議する。単独制裁ではなく、多国間の制裁となる」と述べ、5カ国が共同対処する必要性に言及した。また、「指定解除の中止」の選択肢には直接触れず、米国が科す大部分の経済制裁は維持されるとの認識だけを示した。

 一方で「推測」とことわりながらも、「北朝鮮の指導者は世界的な孤立にうんざりし、前進しようとしているのではないか」と述べ、北朝鮮が拉致問題の解決や非核化プロセスの完全履行に向けて前向きな姿勢を示すことに期待を示した。

 大統領はまた、サミットの焦点である温室効果ガスの長期的な削減目標について「合意できると期待している」と述べた。一方で「そうした合意には排出国すべてが入らなければならない」「中国がいっしょでなければ、問題解決に役立たない」と語り、G8参加国に中国やインドを加えた主要経済国会合(MEM)の枠組みでの合意が前提になるとの考えを示した。

 通貨政策では改めて「強いドル」政策を維持する考えを示すとともに「欧州も強いドル政策を支持していると信じている」と語り、欧州中央銀行(ECB)理事会を前に欧州との間で足並みの乱れはないとの認識を強調した。

 ◇会見骨子

 ▽日米関係 将来にわたって米外交政策の礎。堅実な戦略的関係は東北アジアの安定と平和に不可欠

 ▽サミット 食糧、エネルギー価格高騰への共通の戦略を探る。エイズ、マラリア対策も取り上げる 

 ▽北朝鮮 朝鮮半島の非核化と拉致問題は6カ国協議を通じて解決を図る。既に多くの制裁を受けている北朝鮮が約束を守らなければ、さらに孤立する

 ▽気候変動 温室効果ガス削減の長期目標の合意を期待。中国・インドなど排出国すべてが加わる必要がある

 ▽経済政策 外国産原油への依存度の低減▽低税率▽規制緩和▽自由貿易--を通じて強い米経済とドル高を維持する

毎日新聞 2008年7月3日 11時29分(最終更新 7月3日 13時37分)

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