食材値上げに学校給食『もう限界』

トピックス一覧

パン→米、牛→豚肉、デザート減

食材の値上がりで工夫を凝らした給食を味わう児童=愛知県北名古屋市の師勝小で
食材の値上がりで工夫を凝らした給食を味わう児童=愛知県北名古屋市の師勝小で

 食材の値上げラッシュが止まらない。7月も続々アップが見込まれ、各地の小中学校の給食現場では悲鳴が上がっている。パンが米飯に、牛肉は豚肉に替わり、子供たちに人気のデザートを減らしたケースも。献立の苦しいやりくりが続く栄養士からは「もう限界」との声が聞かれ、給食費の値上げに踏み切る動きも出ている。

 「値上がりが食材全般に広がってきた。秋にかけて魚介類もか…」。愛知県岡崎市の栄養士は頭を抱える。

 年度内は給食費を据え置く方針で、献立に苦心。かんきつ類はサイズを小さくし、国産牛肉は一部を安価な外国産にした。外国産は肉質が硬いが、煮込んだり、ミンチにしたりしてしのいでいる。

 愛知県教委の調査では、本年度から北名古屋市など県内9市町村が給食費を1食10-20円値上げし(昨年5月現在の1食当たり平均は小学校約213円、中学校約258円)、18市町村も検討中だ。「食の安全に関心が高まり、安い外国産からの転換が広がったのも要因」という。小麦の高騰でパンを米飯に替える動きもある。

 食材を供給する愛知県学校給食会によると、食パン(2枚、80グラム)は前年度比で約10%アップ。そのほかスライスチーズ(約39%増)、乾燥シイタケ(約28%増)などと、軒並み上昇している。

 給食費を据え置いた津市美里町の辰水小は、5月から牛肉が消え、豚肉や鶏肉に。三重県四日市市は6月、人気のアンデスメロンをあきらめ、9月のナシもやめる。ゼリーやヨーグルトの分量は60グラムから半減した。

 福井県若狭町の給食センターは、毎年7月に出す地元名物のうな丼を見送るべきか悩ましげ。「子供がかわいそうだが、あきらめざるを得ないかも…」

 一方、値上げした自治体も“台所事情”は楽でない。愛知県岩倉市は、クラスや季節ごとの食欲に応じて供給量を変えるなど、無駄を省く努力が続く。

 滋賀県栗東市は、以前は返品していた形の悪い野菜も使うようにし、魚や調味料は安い種類に。長野県松本市は山間部に多い自校給食の学校で1食最大32円も値上げした。一部食材を一括購入する対策を検討中だ。(2008年7月1日)

献立の工夫しか…

 民間非営利団体「食育サポートセンタークックラボ」理事長の山本久代さんの話
 栄養士は日ごろから1円未満までコスト計算しているが、今後も献立の工夫で努力するしかない。ただ、地場産を使うなど安全性を優先させるには、給食費値上げがやむを得ない場合もあるだろう。生活習慣病対策などの目的もある給食の重要性や、食材の価格の現況について、学校側が保護者に積極的に説明することが大切だ。