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ル・マン「エコ技術」でも激闘
アウディとプジョーの2メーカーが、最終ラップまで息の抜けない、文字通りの「死闘」を演じた今年のル・マン24時間。最終的にはアウディが連勝を果たし、プジョーは2、3位となった。
過去9年間で8勝と、圧倒的な強さを見せるアウディが王者の風格を見せつけた格好だが、この2メーカーのマシンが、いずれも「ディーゼルエンジン」を使用していることを皆さんは知っているだろうか?
ヨーロッパではハイブリッドよりも低コストで、現実的な「環境技術」として注目される次世代ディーゼルエンジン。それをル・マン24時間という過酷なレースに投入することで、ディーゼルの高性能と耐久性、さらには自動車メーカーとしての「環境」への取り組みをアピールしようという意図が、両社の戦いには隠されていたのだ。
特に今シーズンのアウディは、過去2年間積み上げてきたディーゼルでのル・マン挑戦というだけでなく、新たなチャレンジもスタートした。
天然ガスを液化して硫黄などの有害物質をほとんど含まないGTL(Gas to liquid 液体合成燃料)と呼ばれる次世代ディーゼル燃料に、木クズやわら束など“食料”ではない原料で作られた第2世代のバイオ燃料まで混合した革新的な燃料を採用したのだ。
その結果、今回の勝利で自動車メーカーとして「時代の一歩先を行く」姿勢を強く印象付けることにもなった。
F1でも来年から運動エネルギー回生装置(KERS)が採用され、「エコ技術」がメーカー間の戦いの新たな要素に加わる。以前なら、単に「速さ」を競うだけだったレースの世界も、今や「エコ」を無視できない時代が来ているのだ。
(F1ジャーナリスト 川喜田研)