高齢者専用フロアがある尾道刑務支所。廊下の中央には手すりが設置されている=写真はいずれも広島県尾道市の尾道刑務支所、吉本美奈子撮影黙々と昼食を取る。白髪や丸まった背中の高齢受刑者たちが食堂に集まった。「彼らにとって最も重要な時間のひとつです」と刑務官 ※写真をクリックすると拡大します 昼食のカツ丼はトンカツが細かく刻まれ(手前中央)、青のり天ぷら(奥中央)も刻まれている。歯が悪い人のための「きざみ食」だ ※写真をクリックすると拡大します ビーズ通しの作業。作業時間は6時間で、通常より2時間短い ※写真をクリックすると拡大します 作業場で飼っているカメ。受刑者の安らぎになっているようだ ※写真をクリックすると拡大します
罪を犯し、全国の刑務所で過ごす受刑者たちの高齢化が、急速に進んでいる。
一般刑法犯全体に占める60歳以上の割合は、30年前には3%だったが、06年には18%に増えた。再犯者のうち、65歳以上で初めて罪を犯した人の47%が1年以内に罪を繰り返している。さらに、10回以上の罪を重ねた「多数回再犯者」に占める60歳以上の割合は4割を超えた。
無事に出所しても、間をおかず、再び罪を犯して刑務所に戻ってくる高齢の受刑者が多いのも現実だ。「身寄りも仕事もなく、刑務所が唯一の居場所。戻りたいがために、小さな盗みを繰り返す例もある」。法務省の担当者は話す。
法務省は今年度中に、広島、高松、大分の三つの刑務所にバリアフリーの「高齢者専門棟」を初めてつくる。年齢や体調にあった環境づくりが主な目的だが、運営を効率化する狙いもある。(市川美亜子)