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4次元エコウォッチング(安井至)

メーカーの「省エネ」情報は正しいか(08/07/02)

■液晶テレビの消費電力低下はどこまで本当か

 メーカーも省エネ性能をコマーシャルに活用するようになった。そのような動きは、テレビに関しては、シャープが最右翼かもしれない。吉永小百合さんを登用した、「テレビの性能は環境です」、によってシャープのテレビは環境性能がいかに優れているかといったイメージを植え付けることに成功したように思える。

 6月29日の朝日新聞にも全面広告がでていて、「新しいアクオスの消費電力は4年前の2分の1になりました」「52V型でも、4年前の32V型と比べて、画面サイズは2.7倍になっても、消費電力はほとんど変わらなくなりました」と広告している。

 これが本当ならば、ご同慶の至りである。その根拠を少々厳密にチェックしてみよう。

 まず、シャープが消費電力量としているのは、「テレビジョン受信機の性能の向上に関する製造事業者等の判断の基準等」(平成11年3月31日通商産業省告示第192号、最終(全部)改正、平成18年3月29日経済産業省告示第48号)によって定められている年間消費電力であって、次の式によって定められている。

E={(P0-PA/4)×1642.5+PS×7117.5}/1000

この式において、E、P0、PS及びPAは、それぞれ次の数値を表すものとする。

E :年間消費電力量(単位 キロワット時毎年)

P0:動作時消費電力(単位 ワット)

PS:待機時消費電力(単位 ワット)

PA:節電機能による低減消費電力(単位 ワット)

(1) P0:動作時消費電力(単位 ワット)

 記述省略

(2) PS:待機時消費電力(単位 ワット)

 記述省略

(3) PA:節電機能による低減消費電力(単位 ワット)

 節電機能による低減消費電力は、PA1、PA2の値のうち大きい数値とする。

1) PA1:周辺照度に応じて映像を自動的に制御する機能(以下「自動輝度調整機能」という)による低減消費電力(単位ワット)

 自動輝度調整機能による低減消費電力は、周辺照度300ルクス以上の状態において測定した消費電力又は節電機能スイッチを切った状態の消費電力のいずれか小さい方から周辺照度0ルクスの状態において測定した消費電力を差し引いた数値とする。

2)PA2:節電スイッチによる低減消費電力(単位 ワット)

 節電機能スイッチによる低減消費電力は、節電機能スイッチを切った状態の消費電力から節電機能スイッチを入れた状態の消費電力を差し引いた数値とする。

 まず、この式の意味であるが、動作時消費電力が1642.5倍されていることから、テレビというものは、年間1642.5時間使用され、残りの時間である7117.5時間は、待機状態にあると仮定されていることが分かる。

 問題は、PAという節電機能による低減消費電力である。これがなかなか難しい。まず、基礎知識として必要なのは、液晶テレビの消費電力は、バックライトが大部分を占めるということである。そのため、自動輝度調整機能というものがあって、部屋が置かれている場所の明るさによって、バックライトの輝度が適切な明るさに調整されるようになっている。そのため、省エネ効果をPA1という項目で評価しようとしている。低減消費電力というものは、概ね(明るい場所での消費電力−真っ暗な場所での消費電力)と定義しているようで、その4分の1を動作時消費電力から差し引くことで、年間消費電力量の評価がなされていることが分かる。

>>次ページ■消費電力を比較

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