【モスクワ大木俊治】2日付のロシア紙イズベスチヤは、北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)の公式ホームページの地図で北方四島が日本の領土として描かれていることを問題視し、ロシア当局に対抗措置を取るよう求める記事を1面トップで掲載した。サミット期間中に予定される日露首脳会談に影響を及ぼす可能性を指摘する声もある。
同紙が指摘したのはサミットと一連の準備会合の開催地を日本地図とともに紹介したページで、地図は歯舞、色丹、国後、択捉の北方四島を含めて描かれている。「場違いな地図」と題した記事は、「日本人はメドベージェフ大統領にとって不快なサプライズを用意している」「(大統領は)わが領土である南クリル(北方四島)が日本の領土として描かれた地図を目にすることになる」などと批判。ロシアのラジオ局もインターネットなどでこの地図への賛否を問う調査を行うなど論争になっている。
これについてロシア外務省は、インタファクス通信に「2国間の領土問題をサミットに関連づけようとする試みには断固として反対する」と表明。日本側も「領土問題はサミットの場では取り上げない」(在露大使館)と強調しており、双方ともこの問題を騒ぎ立てることに慎重な姿勢を取っている。
露外交筋によると、ロシア側は首脳会談の雰囲気に影響する可能性もあるとしてこの地図に懸念を表明したが、日本側は「北方四島は日本の領土というのが我々の立場」として修正などに応じなかったという。
毎日新聞 2008年7月3日 10時21分