2008-07-01
論文を読む上で重要かつシンプルな9つのルール
研究 | |
最初に言っておくけど、このタイトルはホッテントリメーカーでつくったんじゃないよ!
結果としてこうなったんだよー!!
ゴホッゴホッ(咳をする音)、では気分を取り直して、以下本文です。
しんぷる大先生 (id:simpleA) が読書をする上でいかに自分のアイデンティティーを大事にするかという興味深いエントリーを上げていたので、本エントリーでは研究者の論文の読み方について思うところを。
ライフサイエンス系の最前線の研究者は論文を読むことと実験をすることに忙殺されていると思うから、ほとんどの研究者は論文か実験に使う時間を出来るだけ減らしたいという願望を持っていると思うのです(エラクなるごとに実験量は減り、論文を読む量は増えるよー)。
私は(エラクはないけど、っつーか、シタッパーズです!それでも)読む必要性のある論文が常に山になっているのですが、論文を読む時はこんな点に注意しています。私の場合、大体自分の専門分野の論文1本を理解するのに最速で15〜20分かかっています。一日に消化できる論文は、忙しさにもよるけど、せいぜい5〜6本が良いところです(ごめんなさい <−誰に対して?)。
以下、実際の読み方です。
1次スクリーニング
初見は細かい部分は抜きにして、以下の概要を捉えるよう努めます(枝葉末節にとらわれんな!)。
1:その論文が行われるに至ったバックグラウンド、それを知る上での基礎知識
2:論文のおおまかなメッセージ(1と2が分かれば、その論文が答えようとしている疑問が明らかになり、その疑問にアプローチする方法論も必然的に収束します)
3:結果の解釈と考察
4:過去の関連論文との整合性
5:新規性
これらのファクターのうち1つでも不明な点があれば、理解するのを諦めます。他の専門家か後世の研究者の評価が出るのを待ちます。ただし、論文のメッセージは補足し、記憶しておきます。データの信頼性は基本的に性善説で行きます。私の場合、1次スクリーニングは大体5分以内で済ませます。過去の論文との整合性はそれなりの積み重ねが必要です。過去の重要論文を確実に押さえとこー!
2次スクリーニング
次に、より細かい部分に焦点を当てて精査します。
1:実験の手技・方法は適切か?
2:実験の結果と解釈に齟齬はないか?
3:実験の考察は適切か?
これらのすべてに満点を出す論文はまずありませんが、大きな問題がなさそうであれば、Endnote に記録します(これは自分が近いうちに書く論文の参考文献になります)。細かい部分まで見るので、やはり10〜15分ぐらいかかるようです。
まあ、そんなことはどうでもいいとして(えっ、そーなの?!これまでは何やったの?)、研究者たるもの、最新の論文は常にチェックしていたいものです(最近はそれをチェックできない大学が出現し始めたようですが)。
心配スンナ、そんなことは大した問題ではないよー(えっ、そーなの?!)!
なぜなら、私はこう思うからです。
最先端!?フンッ、なんだそりゃ!?
俺が最前線だ、文句あっか!
司令官!?ああ、自分だけ安全な場所から命令出してるヤツな。
命令があるなら、ホンモノの弾丸飛び交う最前線までオマエがやって来て現実を見てみなさい!
それが出来ないなら、絵に描いた餅はいらんよ!
俺が今まさに血い流しながら戦っとるんや!
そんで、歴史を創っとるんや!!
つーか、そいう気概で毎日過ごしています。
なので「自分が最先端で居るためには最先端の論文が必要でしょ。」というのは大間違い!!!と思うのです。
なぜなら、「最先端」は自分が創るものだから。
それに、いくら最新の論文でも、その論文はすでに一年前のデータが紙上(もしくはインターネット)に発表されているに過ぎないのだから!
だって、ある論文を発表するまでにかかる時間を考えれば、一年なんてあっという間でしょ。
逆の言い方をすると、論文として今あなたが読んでいる論文のデータは一年とかヘタしたら数年前のデータなわけですよ。
その論文を発表しているグループは(あたながその論文を読んでいる時点で)数年先をすでに行っているんですよ、大抵は。
というわけで、結局何が言いたかったのかと言うと、
「最先端は自分で創れっ!!!」
ということ。
今日もシンプルに決めたああ(え、そっ、そうですか?)。
ほなねー(ああ、ビール飲み過ぎ!)。