クマの出没が相次いでいる。2年前の騒動は秋だったが、今年は梅雨どきだ。短期間での自然界の変化を見ているようで不気味である 里山で捕獲されるのは肥満型クマが多くて、空腹の飢餓型は少ないという。残飯や民家庭先の柿など人間による豊富なえさがあるからで「集落依存型クマ」と専門家は言う。少々おかしくてやがて怖くなる話である 舳倉島の生物調査では、ネズミとりのカゴに入らないほどのネズミがいるとの情報もあった。人間の暮らしがあってこそ太ったネズミも登場する。都市に増えるカラスの群れと同様、家畜でもない動物が人間に寄生し始めている。これも自然破壊の一つだろう 日本人の大衆が、飢えの心配から完全に解放されたのはほんの50、60年前のことに過ぎないという。縄文・弥生の話ではない。昭和のはじめまで飢饉に見舞われ、いつも腹を空かせていたというわけだ。それが今や飽食だ肥満だと騒いでいる それも、クマやネズミまで太らせて罰当たりなことだ。意地悪く言えば、メタボの人には里山の散歩がいい。クマと出遭う恐怖で身も細るに違いない。
|