「横領という巨悪を暴くため、義憤の気持ちで持ち出した」--。1日午後、青森簡裁で別々に開かれた国際環境保護団体「グリーンピース・ジャパン」(GP)のメンバー、佐藤潤一容疑者(31)と鈴木徹容疑者(41)の拘置理由開示の法廷で、2人は罪に問われた行為の目的を説明した。
佐藤容疑者は意見陳述で、「GPは過激な団体と誤解されているが、捕鯨を深く知れば知るほど実態はひどく、納税者らに知ってもらういい機会だと思った」と持ち出し目的を述べ、「反省すべき点はするが、調査捕鯨の組織的な関与について捜査し直してほしい」と訴えた。
鈴木容疑者は「表に出ている横領行為は氷山の一角。私らが逮捕、拘留され、(鯨肉を持ち帰った調査捕鯨船の)乗組員らが不起訴となって問題が終わってしまったことはショックだ」とし、「組織の背景を解明しようと、関係のない仲間からも多くの物を押収する捜査に腹が立つ」と涙を流した。
メンバー11人で傍聴に来た星川淳・GP事務局長は会見で、「大きな犯罪性を疑われる調査捕鯨の横領問題と、形式的な証拠品確保の問題を並べ、我々の手法だけを問うやり方に政治的な意思を感じる」と話した。【矢澤秀範】
毎日新聞 2008年7月2日 地方版