高さが h 、底面の半径が r の円錐の体積を V とすると、
となります。 ……[1]
このとき、円錐の展開図を考え、母線の長さを
L 、
側面の中心角を

度とします。
本当は、側面の中心角を
とおいた方が見栄えはいいのでしょうが、
かえって露骨なので、あえて
にしました。
底面の円周の長さと側面の弧の長さは等しいことから、
ゆえに、

となります。
ここで、今回は、母線の長さが10cmですので、
L=10を代入して、

となります。 ……[2]
また、円錐を横から見た形を半分に切ると、
3辺の長さが
L と
h と
r の直角三角形になります。
ゆえに、「三平方の定理」より、
L2=h2+r2 となり、
ここで、円錐になるための条件として、
L>r ですから、
h2=L2−r2 ……[3]
さらに、
L=10 ですから、

となります。
これを
[1]
に代入して、
これに
[2]
を代入して、

となります。 ……[4]
この時点で、
のがも学園
の講師の側で、後述の
微分を用いた解き方
で
V が最大となるような

の値を計算し、
その値
を教えておくことで、その生徒の計算ミスの危険に備えた上で、
次のような方向でレポートを作成するように指導しました。
まず、

が0度と360度の場合には円錐にならないので、
かわりに、

が1度と359度の場合について、
[4]
に代入して
V を(計算機で)計算します。
すると、
=1 の場合、
V≒0.0080761
=359 の場合、
V≒77.527223
となります。
本当は、
[4] に
=0 や
=360 を代入しても、 V=0 になるだけですが、
ここでは円錐にならない数値をあえて避けました。
そして、30度から330度までについて、30度おきに計算します。
=30 の場合、
V≒7.2432366
=60 の場合、
V≒28.667424
=90 の場合、
V≒63.339415
=120 の場合、
V≒109.64520
=150 の場合、
V≒165.18787
=180 の場合、
V≒226.60998
=210 の場合、
V≒289.28275
=240 の場合、
V≒346.72857
=270 の場合、
V≒389.42152
=300 の場合、
V≒401.78248
=330 の場合、
V≒351.49078
今まで計算した中で、
V が最も大きくなるような

の角度は300度で、2番目は270度でした。
そこで次は、念のために前後に幅を持たせて、
240度から330度の間について、10度おきに計算します。
=240 の場合、
V≒346.72857 (前出)
=250 の場合、
V≒363.19693
=260 の場合、
V≒377.60995
=270 の場合、
V≒389.42152 (前出)
=280 の場合、
V≒397.97147
=290 の場合、
V≒402.44134
=300 の場合、
V≒401.78248 (前出)
=310 の場合、
V≒394.59055
=320 の場合、
V≒378.86571
=330 の場合、
V≒351.49078 (前出)
次は、280度から310度の間について、5度おきに計算します。
=280 の場合、
V≒397.97147 (前出)
=285 の場合、
V≒400.77544
=290 の場合、
V≒402.44134 (前出)
=295 の場合、
V≒402.83041
=300 の場合、
V≒401.78248 (前出)
=305 の場合、
V≒399.11012
=310 の場合、
V≒394.59055 (前出)
次は、285度から300度の間について、1度おきに計算します。
=285 の場合、
V≒400.77544 (前出)
=286 の場合、
V≒401.20384
=287 の場合、
V≒401.58571
=288 の場合、
V≒401.92000
=289 の場合、
V≒402.20559
=290 の場合、
V≒402.44134 (前出)
=291 の場合、
V≒402.62609
=292 の場合、
V≒402.75862
=293 の場合、
V≒402.83771
=294 の場合、
V≒402.86208
=295 の場合、
V≒402.83041 (前出)
=296 の場合、
V≒402.74135
=297 の場合、
V≒402.59349
=298 の場合、
V≒402.38540
=299 の場合、
V≒402.11557
=300 の場合、
V≒401.78248 (前出)
今まで計算した中で、
V が最も大きくなるような

の角度は294度で、2番目は293度、3番目は295度です。
ここで、293度のときと、295度のときとで、
V の値が近いので、
V が最大となる

の値は、かなり294度に近いものと推測できます。
以上より、
「母線の長さが10cmの円錐について、体積が最大になるのは、
円錐の展開図の側面の中心角が約294度の場合である。」
と、結論づけても良いでしょう。
なお、ここでは念のために、294度付近について、
0.1度おきに計算しておきます。
=293.8 の場合、
V≒402.86165
=293.9 の場合、
V≒402.86215
=294 の場合、
V≒402.86208 (前出)
=294.1 の場合、
V≒402.86146
ここまで計算すると、
「円錐の展開図の側面の中心角が
約293.9度の場合である。」
と推論することができます。
さらに、0.01度おきに計算した場合には、
=293.92 の場合、
V≒402.862177980420
=293.93 の場合、
V≒402.862185683357
=293.94 の場合、
V≒402.862187792153
=293.95 の場合、
V≒402.862184305477
となり、
「円錐の展開図の側面の中心角が
約293.94度の場合である。」
と推論することができます。
なお、ここでは、円周率 π を3.14として計算しましています。
ですが、別の値、例えば π=3.141592 で計算しても、
Vの値は π に比例して変化しますが、
Vが最大となる
の値は変化しません。