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渦状言論へようこそ。

ここは、批評家・東浩紀が運営するブログです。東浩紀の経歴や業績については、hiroki azuma portalをご覧ください。

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文化デザイン会議/ケータイ小説的

こんにちは。東浩紀です。

昨日の日本経済新聞になにかぼくについての記事(たぶんロスジェネのシンポジウムについての記事だと思うのですが)が出たらしく、それを見ましたという仕事依頼が二つも来ました。なにが書かれていたのか、気になるところです。

さて、それはそれとして、先週金曜夜のそのシンポジウムのあと、土曜日早朝に帰宅したぼくは、それから8時間も経たないうちに、今度は日本文化デザイン会議主催のトークショーに出席することになりました。

しりあがり寿氏、鏡リュウジ氏、そしてサエキけんぞう氏と、知名度も年収も明らかにオレとは桁が違うぞ的なゴージャスな面子のトークショーで、会場も赤坂・博報堂新社屋ビルのホール。ロスジェネとはあまりに変わったセレブな雰囲気にくらくらし、率直に言って最初は警戒気味だったのですが、これが意外と実質がありました。ぼくは前日の雰囲気を引きずっていて、オタクやアキバの話題を振られても会場の期待に絶対添っていないであろう暗く沈鬱な話ばかりしがちだったのですが、それが鏡リュウジ氏と共振して、話が予想できない方向に拡がっていったのです。鏡さんからは、ギデンズの名前まで出てましたからね……。

いや、本当におもしろかったです。貴重な機会を与えてくれた、モデレータの佐伯順子氏に感謝します。

さて、ここからが本題です。

そのトークショーのあと、ぼくは結局、しりあがり・鏡両氏とともに午前2時まで飲むことになりました。二人は心底泥酔していて、そこではさまざまにおもしろいことがあったのですが(鏡さんが道ばたの人形に本気で話しかけるなど)、そのすべてを割愛してまともな話に戻すと、その席上で鏡さんから速水健朗さんの『自分探しが止まらない』の名前が出ました。彼に仕事をお願いしたいんだけどなあ、とおっしゃるので、ぼくは、あ、速水さんだったら知っていますよ、連絡とりましょうか、ということになり、翌日速水さんにその旨のメールを出しました。

速水さんはご存知のとおり、最近『ケータイ小説的。』という本も出版されています。ぼくにも献本されていました。このブログでは基本的に本の感想を書かないことにしているので書かなかったのですが、これがけっこう、というかかなりいい本で、すくなくともぼくには大きな刺激を与えてくれました。『ケータイ小説的。』は、『東京から考える』『ゲーム的リアリズムの誕生』の裏側版(地方版・ケータイ小説版)の性格をもつとともに、また大塚英志/宮台真司的な少女史のアップデート版としても読める。どこかから書評の依頼でも来るかなーと思っていたら、とくに依頼もないので残念に思っていました。

というわけで、鏡さんの話とともに、その旨を書いて速水さんに送ったところ……。

<いやあ、『ケータイ小説的。』とか、マジ話題になってませんよ。書評も出てませんよ。東さんに頼むにしても媒体ないですよ。世の中腐ってますよ! マジで!>

みたいな返事が来ました(だいぶ加工してありますけどねw)。

「え、そうなの?」というわけで、ぼくはここで、『ケータイ小説的。』をみなさんにお勧めするとともに、このブログをご覧になっている編集者さんや書店員さんに、だれか速水さんとぼくの対談企画を動かしてみませんか、と提案してみたいと思います。

ぼくは速水さんには、昨年『週刊アスキー』で「ギートステイト」の鼎談連載をしていたときにお世話になっていて(鼎談をまとめていたのが速水さんだったのです)、そのときから、ショッピングモールとかファスト風土とかの話をよくしていました。『ケータイ小説的。』はその会話の延長線上にある内容なので、議論は実質的なものになると思います。おそらくは、ファスト風土の文学的想像力についてオタクとケータイ小説の両者から考える、みたいな内容になるでしょう。

だれか、上記対談にご興味のあるひとはいませんでしょうか? 

ご連絡は、ぼくか速水さんまで。


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