中国の商標局に、飲食店経営者とみられる個人が漢字の「さか」1文字違いで「松坂牛」と商標登録を申請していることが分かり、地域ブランド「松阪牛」の本家、三重県松阪市の担当者が頭を抱えている。
松阪市は牛肉輸出解禁をにらみ、ブランドを守るため2006年5月に中国で商標として「松阪牛」を申請したが、先を越されていたからだ。類似名称は登録が認められにくいといい、担当者は「寝耳に水。先手を打ったと思ったのに」と悔しがっている。
しかし今年4月下旬、登録の仲介をする中国企業から「05年9月に『松坂牛』が申請されている」と知らされた。「松坂牛」は早ければ8月に審査を通り公告される。その後3カ月は異議申し立てが可能という。
東京理科大の生越由美教授(知財政策)は「中国では日本の農畜産物は安全で価値が高い。先に商標を取ってブランドにただ乗りし、消費者の勘違いを狙っているのではないか」と話している。