【カイロ高橋宗男、パリ福井聡】エジプト・シャルムエルシェイクで開かれていたアフリカ連合(AU)首脳会議は1日、ジンバブエのムガベ大統領が野党不在のまま大統領選決選投票を強行した問題について協議、大統領に対し、最大野党「民主変革運動」と対話するよう求める決議を採択し、閉幕した。大統領への直接批判は避けた。一方、米国は単独でも制裁を実施する厳しい姿勢を示唆するなど、国際的非難はおさまっていない。
決議は「(ジンバブエの状況を)深く懸念する」としたが、ムガベ大統領は非公開協議の場で批判への反論を約30分に渡って展開するなど、聞く耳を持たない状況だった。AUは決議とは別に、与野党での権力分担の呼びかけを支持することも確認した。しかし、民主変革運動のツァンギライ議長は、この提案を拒否した。
一方、ペリーノ米大統領報道官は30日の会見で、国連安保理による制裁がまとまらなかった場合、米国が単独でも制裁を実施する意向を示した。安保理での協議では中国が制裁に難色を示している。
欧州連合(EU)議長国・フランスのクシュネル外相は1日、「EUはツァンギライ議長による政権以外認めない」と厳しい方針を示した。仏外務省は「決選投票は恥ずべきもので、ムガベ氏と家族に対する個人的制裁を検討している」としている。新制裁は一般国民が影響を受けるものは避け、「ビザ規制とムガベ一族の資産凍結を含む」ものになるという。
毎日新聞 2008年7月2日 10時34分