フランスの学校は7月3日から夏のバカンスが始まる。2カ月も続くバカンス中、観光地でアルバイトをしたり、キャンプや文化的な催しに参加したりして、日常とは異なる体験をする。このバカンス中に、フランスの小さな子どもたちはファースト・キスを、もう少し大きくなると初体験をすることが多い。
どんな話題でも率直に話していそうに見えるフランス人の親子も、性の話題はちょっと違うようだ。日刊紙パリジャンは一面に若い男女の写真を載せ、「思い切って、あなたの子どもと性について話そう」と見出しを打ち出している。性の問題に詳しい産婦人科医シルヴァン・ミムン氏によると、友達の近況を尋ねながらなにげなく性の話題に触れるといいそうだ。「Aにはカレがいるの?」「彼女、肉体関係はあるの?」「ピルは?」など。自分のことは話しづらくても、友達の恋愛話には花が咲く。こうして、フランスの子どもたちは親に心を開いていくらしい。
会話のきっかけは、映画やテレビドラマでセックスシーンがあったときに何気なく。新聞や雑誌の記事を読んで真面目に、など親としてはタイミングを見計らって切り出そうとしている。13歳の娘と17歳の息子を持つベルナデットは、子宮頸がんの予防ワクチンをすすめるテレビコマーシャルがきっかけで、子どもたちと語り合えたと喜んでいた。フランスの厚生省は、14歳から女の子に子宮頸がんの予防ワクチン接種を勧めていて、ワクチンメーカーがテレビやインターネットなどで広告を流している。「初体験前にワクチン接種」とコメントが流れてくると、ベルナデットの子どもたちはコマーシャルに目をやった。「あなたも来年ワクチンしてもいいかもね」などと娘に言いながら、ワクチンや避妊の必要性を話したそうだ。
フランス人は早熟なのかと思ったが、初体験の年齢は日本人とそう変わらない。女性が17.6歳、男性が17.2歳。50年前は、女性が20.66歳、男性が18.6歳と男女差が2年あったが、1960年代から70年代にかけて女性の低年齢化が進み、現在は男性とほぼ同じ。この変化は、女性が初体験の相手と結婚しなくてもよいと考えるようになったからだ。(INED国立人口統計学研究所とInserm国立衛生医学研究所、2006年の調査)
別の調査によると、もっとも早熟なのはアイルランド人の15.6歳、もっとも慎重なのはインド人の19.8歳、日本はフランスと並んで17.2歳に初体験をしている。(コンドームのメーカーDurex、2005年の調査)
日本のお父さんお母さんは子どもと性の話題を語り合っていますか?
2008年7月2日