ブリーディングについて
デリケートな問題ですし、以前この話題ですこしイヤな思いもしたので、サイトへの掲載をすこし考えましたが、やっぱり載せることにしました。
このページはこれまでに繁殖をされた方のことをとやかく非難がましく言うものではありませんし、今このページをご覧になっている方の愛犬が出産を控えている場合は、もちろん無事な出産と健康な赤ちゃんの誕生をお祈りする気持ちに変わりはありません。
しかし、ご家庭でこれから繁殖を考えている方、そしてすでに繁殖された方にも見ておいていただきたいと思ったこと、ブリーダーの方には遺伝性疾患の検査や情報の開示についてお願いしたいことなどなどあります。
ご家庭で犬を飼われている多くの方は繁殖のために犬を購入されたのではなく、その犬と暮らすうちに「かわいい我が子の子供が見たい!この子の血を残したい!」という理由で繁殖を考えるようになったのではないかと思います。
その気持ちはよくわかります。本当によくわかります。わたしだって黒のコドモがみたかった! しかしそれだけの理由で繁殖をしたために、遺伝性の疾患・先天性の疾患(子犬の頃にはわからないものも多くあります)に苦しむ犬や遺棄される犬を生み出しているのも事実です。
■スタンダードということ■
飼い主にしてみれば可愛いわが子が、スタンダード(犬種標準)であるかどうかなんてまったく関係ないと思う気持ちも理解できます 。
そしてなにより、「かわいいこの子の子供が欲しい!」と思う気持ち自体はごく自然なこととも思います。ご家庭での繁殖を反対している人の意見の中によく出てくる「犬質」・「スタンダード」という言葉に嫌悪感や憤りを感じる方も多いのではないでしょうか。
しかし、これだけははっきりと言っておきたいのですがスタンダードや犬質という言葉は、本来犬を差別するために使っているものではありません。
この言葉の本質を正しく理解していただけるくらいの勉強は繁殖を考える前にしておいていただきたいのです。また、差別的にこの言葉を使っている方はぜひやめていただきたいと思います。
MIX(雑種)犬にはスタンダードなどありません。でも犬としての素晴らしさはみなさんご存知のとおりだと思います。純血種であろうがなかろうが、犬としてのすばらしさはそんなものとはまったく関係なく、どの犬もみんな素晴らしいのです。スタンダードだから犬として優れているというのではありません
くどいようですが、スタンダードからまったく外れた犬であっても素晴らしい命であることには変わりありません。しかし、繁殖ということとは切り離して考えていただきたいのです。
それと同時に、たとえ血統書があろうと、チャンピオンの直子であろうと、スタンダードにそぐっているかどうかはまったく別の話であるということをご理解いただければと思います。
「出産は"自然"なことだと思う。産ませないのは(避妊去勢)は人のエゴ」 という方もいらっしゃいます。確かに避妊去勢という手術は自然なことではありません。しかし自然界においても、誰でも出産できるわけではありません。不自然ということで言ってしまえばマンションで犬と暮らすことだって不自然です。
出産を望んでいるのは人間です。愛犬が、本当に望んでいるのは最愛の飼い主の愛情・密度の濃い時間・深い絆です。
動物嫌いの方の理由で最も多いのは飼い主のマナーの悪さと躾不足です。
本に書いてあるとおりガチガチに躾をしろという意味ではありません。自分の犬が病気のときにクスリすら飲ませることの出来ない方までも繁殖している現実があるのです。
繁殖という行動を取る前に、もう一度愛犬と家族との関係を見直してみませんか?
繁殖の話の前にもっともっともっと、ご自分の犬を理解して欲しいと思っています。愛犬の子供を望む前に、愛犬との関係を見直してみませんか?
以前ある掲示板でご家庭での繁殖について意見交換があったとき、わたしは安易な繁殖について先天性の遺伝性疾患などのことを理由のひとつとして反対の意見を述べました。そのときに
「わたしは体に障害を持つものですが将来子供を産みたいと思っています。あなたはそんなわたしを否定するんですか?悲しさと憤りの気持ちでいっぱいです」
というレスがついたことがあります。わたしもとても悲しくなりました。決して障害を持つ方を差別しているものではないことを、どうかご理解下さい。
人間は自分自身で選択できます。産むことも産まないことも選択できます。自分の命とひきかえの、命がけの出産も、自分の選択と責任においてできますが、ペットは自分で選択できないのです。
今そこにいる愛犬の健康、最期のときまでの幸せを約束し守ってあげることこそ、飼い主としての責任ではありませんか? 動物は障害を抱えて生まれてきた場合、公的な補助もなにひとつありません。
ペットの共済保障会社も現在では数多く存在しますが、加入時健康体であることが条件付けされており、先天性疾患のある場合加入できないことが多いはずです。
繁殖に100%や完全や絶対などはありえませんし、遺伝性疾患のない純血種や血統はありませんが、それでも真摯で丁寧な繁殖によってそういった遺伝性疾患のリスクは減らしていけるはずです。
「愛情や責任」は犬を飼う以上大前提で当たり前のことです
繁殖の理由にはなりません。
繁殖という行為をする以上、それらの気持ちとは全く別に、 深く広い知識と重大な責務があるのではないでしょうか?
繁殖をする以上は、遺伝について、犬の疾患について、性格・神経性について、 健康について、犬種について、暮らしについて、事前に行う検査の種類と信頼性等々 学ぶべきことはたくさんあります。
(注)遺伝性疾患は少ない犬種でも10種類以上、人気犬種といわれている犬種では 40種に及ぶものもあるそうです。例えば人気犬種の放棄犬には遺伝性なもので仔犬の時にはわからない神経疾患や精神疾患のある子が多いそうです
■ブリーダーについて■
とても残念なことですが営利目的のみで繁殖させ、 子犬を売るブリーダー(にわかブリーダー・繁殖屋)がいます。
そういうブリーダーは犬種の研究や向上に貢献することはなく、犬種やスタンダードの知識もないので、流行犬種の市場相場には詳しくても、不幸な遺伝子特徴が子犬に出てしまうのを防ぐ方法も知らないでしょう。それでも売るときはちゃんとしたブリーダー並みの立派な値段をつけるのです。
「チャンピオン直子」などとありますが、チャンピオンの犬がスタンダードに沿った犬であるというだけで、「直子」が繁殖に適しているかどうかはまったく別の問題です。
何も質問しないのに、あるいはこちらの環境を一切知らずに子犬を売ることに同意するようなブリーダーや、質問を嫌がるようなブリーダー、質問をした際に高圧的な態度をとるようなブリーダーには用心してください。
よいブリーダーは子犬を買いに来る人を慎重にふるいにかけ、子犬に適切な生活や環境を与えてやれそうに無い人は断わりますし、子犬を買うようにしつこくすすめることもしません。これから犬を家族に迎える人にとって、ブリーダーの選択はとても重要です。
「遺伝性疾患をなくし犬質の向上に努めている」という表記も目にしますが、その際には 具体的にどのような検査機関でどのような検査を繁殖に使用している犬に行っているのか、 ぜひ明記してほしいとおもいます。
一般譲渡の際にきちんと検査証明をつけてくれるブリーダーさんもまだまだ少なすぎると思いますが、このようなことが一般的になるためには、こういった検査が国内できちんとわかりやすく行えるようなシステムが必要です。獣医師の視診や一般的な健康診断だけでは不十分なことがたくさんあるからです。
真のブリーダーは自分の育てている犬種のことなら何でもよく知っていますし、(遺伝について、犬の疾患について、性格・神経性について、健康について、犬種について、暮らしについて、事前に行う検査の種類と信頼性等々)犬種の向上をさせようと不断の努力をしています。
ブリーダーが子犬の繁殖に注ぎ込むお金に比べれば、その子犬を売って得るお金など微々たるものです。その犬種に多いといわれる遺伝性疾患を減らす努力をしているのです。
犬種によって様々な遺伝性疾患がありますが、ほとんどの場合、その遺伝子の所在や 遺伝様式は遺伝情報の解明がなされていない今は間違いなく判断することは不可能なことで「絶対に大丈夫な」系統や血統というものはありません。
ブリーダーは可能な限りの遺伝性疾患の検査を行い、 それを持っていないという犬だけをブリーディングに用い、可能な限り証明書や診断書等の書類を提示する必要があると思います。口先だけで愛想よく 「"絶対に"大丈夫ですよ」とか「うちの血統には"絶対に"出ません」 などと言うブリーダーは信頼できません。
無機質な物を作っているのではなく生命の誕生に携わっているのです。100%や完全や絶対がないことは理解していますし、飼い主たちは理解するべきです。
犬を譲ってほしいにんげんの質問としては
「絶対に遺伝性疾患に罹ることはありませんか?」
ではなく
「遺伝性疾患に罹る犬を減らすために繁殖の際にどんなことをしておられますか?」
と質問して、きちんとしたお返事をいただくのがよいとおもいます。
そしてもし、迎えた犬が後々遺伝性疾患を発症するようなことがあっても、絶対に手放したりせず、生涯適正な環境で出来る限りのことをしてあげてください。
犬にとっては家族(飼い主)がすべてです。どのようなことが起きようとも、最期のときまでの幸せを約束し、共に暮らしてください。
また、ブリーダー同士でもよいことばかりではなく、繁殖に際しての悪い結果や失敗など 変な見栄をはらずに情報を開示し交換しあえたらいいのにとおもいます。
きちんとしたブリーダーであれば犬の一生に責任を感じ、必要な知識も経験もなく 繁殖させることのないようにしたいはずです。あるブリーダーさんとお電話でお話しさせていただいたとき、こんなことをおっしゃっていました。
「女の子の飼い主さんはなんでもかんでも子供を欲しがって・・・」と
このブリーダーさんはチワワの繁殖を専門に40年されてきています。純血種の繁殖ですから、どんなにベテランのブリーダーさんの繁殖にだって完璧や完全は求められません。
ご家庭でペットとして可愛がってくれるはずの、自分の譲った犬で繁殖について何も知識を得ないまま 交配されたり、ましてや産まれた仔犬のうち1匹しか残せないと言って金銭譲渡をされてしまったり ・・・というのは決して気持ちのいいものではないはずです。
わたしは繁殖自体に反対をしているのではありません。ただ、無責任な繁殖をやめてほしいと心から願っています。
※「信頼できるブリーダーを紹介してください」「やめたほうがいいブリーダーをおしえてください」 というメールをいただくことがありますが、このページは一個人サイトであり、私自身はブローカーではありません。
また、噂には聞いてもわたしが実際にすべてのブリーダーと会ったり犬舎見学をしているわけではありませんので無責任な噂話をお伝えするわけにも、ましてやご紹介するわけにもいきません。申し訳ありませんが、どうかご理解下さい。
■繁殖様式■
ブリーダー(ブリードをする人は素人であろうがなかろうがブリーダーです) はどの雄と雌を交配するかをきちんと決めなくてはなりません。近親交配のレベルを知っておくことは必然であるといえるでしょう。
*系統交配*
多くのブリーダーはいわゆるlike-to-like交配を行います。これにより同じ構造と形質を持つ動物同士が交配されます。子孫は彼らの両親に似ている傾向があります(各々の両親から彼らの遺伝子の50%を受けています) 従って姿が同じに見える両親の交配はさらに子孫がそれらの両親に似るチャンスを増加させます。しかしながら、これは遺伝的な類似ではないかもしれませんし、このような交配はエラーをなくすことができません
*遠縁交配*
ブリーダーが補正的な交配が必要となったとき、不足している長所を持つ外部の犬を持ち込まなくてはならなくなります。たとえば、その犬舎の群体で肩部が前に出てしまう構造を示す場合、 正常な肩部を持つ子孫がいる種雄を選択しなくてはいけません。どんなブリーダーでも形態と形質の中にどんな欠陥が潜んでいるかをきちんと学んでおくべきです。最新のチャンピオンを使うよりも、きちんとしたポリシーの元で繁殖を行うべきです。家系図をごちゃごちゃな近親交配にしたりせず、構造と形質の観点から整合性のある家系を作り上げることに集中しなくてはならないのではないでしょうか?
■遺伝性疾患について■
常染色体劣性遺伝する疾患であることが判明しています。
オス、メス両方とも等しく発症の可能性があります。発症犬の両親犬(父犬、母犬とも)は、キャリアであるか、あるいは発症しています。キャリア犬と非キャリア犬の交配は、キャリアの犬を生む可能性があります。
■遺伝子検査では■
進行性網膜萎縮、腎形成異常、銅起因性肝炎、フォンウィルブラントン病、ホスホフルクトキナーゼ欠損症、などの疾病を引き起こす遺伝子を持っているかいないかを検査で判別できます。検査結果をもとに運動、食事などの対処方法を検討していくこと、交配計画を立てることができます。
■遺伝子検査すると以下の状況がわかります■
Clear(クリア) :欠陥遺伝子を継承していません。繁殖のために使用しても発症する可能性がありません。
Carrier(キャリア) :欠陥遺伝子を継承しています。症状は出なくても子孫に欠陥遺伝子を継承する可能性があります。
Affected (アフェクテッド):両親から欠陥遺伝子を継承しており、発症しているか発症する可能性があります。
Clear♂ | Carrier♂ | Affected♂ | |
Clear♀ | 100%Clear | 50%Clear 50%Carrier |
100%Carrier |
Carrier♀ | 50%Clear 50%Carrier |
25%Clear 50%Carrier 25%Affected |
50%Carrier 50%Affected |
Affected♀ | 100%Carrier | 50%Carrier 50%Affected |
100%Affected |
↓以前掲示板にWan'sTailのくっくちんさんにご投稿いただいた内容です
日本の資料と米国の資料の両方をご紹介します。どちらも新しい資料ではありませんし、日本では繁殖が乱れていますので、 調べる方がいらっしゃれば、たくさんの遺伝性疾患が溢れて、その筋の方には、 教材の宝庫なのではと思います。遺伝性疾患や先天性疾患は、繁殖の基本となった種牡、台牝によっても変わってきますし、 米国のデータが日本で、そのままイコールではないことも、ご了承下さいませ。 でも、殆どの繁殖される方が、私が持っている資料ですら、読んで下さっていないのでは ないかしらって、思うと、心が痛みます。ご参考になれば、幸いです。チワワ
水頭症(劣性遺伝子)・肺動脈口狭窄・僧帽弁欠損・A型血友病・肩関節脱臼・膝蓋骨脱臼・気管虚脱・歯突起形成不全・乾性角膜炎 ・続発性緑内障・角膜浮腫・虹彩萎縮・口蓋裂・低血糖症
<以上、犬種と疾病 文永堂出版 1989による>
水頭症・口蓋裂・気管虚脱・角膜ジストロフィー・肩関節脱臼・A型血友病・緑内障・低血糖症・軸椎形成不全・甲状腺機能低下症・虹彩萎縮・僧帽弁異常・神経セロイドリポフスチン症・解離性骨軟骨炎・骨軟骨症・膝蓋骨脱臼・進行性網膜萎縮・肺動脈狭窄
<以上、CANINE CONSUMER REPORT 動物の権利のための獣医師の会1994発行コピーライト1996アルファ によります>
■主な遺伝性疾患のリスト■
水頭症
脳の中にある脳室というわずかな隙間に水がたまり、ここが拡張して脳が圧迫される病気でおそらく先天的な要因が関与していると思われる子犬によくみられる病気です。
マルチーズ・ヨークシャーテリア・イングリッシュブルドッグ・チワワ・ラサアプソ・ポメラニアン・トイプードル・ケアンテリア・ボストンテリア・パグ・ペキニーズでは他の犬種より発生が多い。 多くが子犬の時にみつかっています。全く症状を示さないもの・頭を壁に押しつけるもの・姿勢の異常・無目的に歩き回る・眼が見えないなえどの神経症状を示すものもあります。症状を示さないものではしつけトレーニングがうまく行かないなどで気づかれることもあるようです。診断は特徴的な症状、レントゲン検査、CTスキャンで行われます。脳炎があるかどうかは脳脊髄液の検査で調べます。症状のないものでは治療は必要ありません。症状のあるものでは薬物療法で脳脊髄液を少なくしたり、あるいは手術によって脳脊髄液を他に流す処置を行うこともできます。
眼の病気
欧米ではブリーディングに用いる犬は年に一度眼の専門的検査を受けることが求められています。輸入犬の場合はその証明書を確認してください。眼の遺伝性疾患には次のようなものがあります。
網膜異形成
失明に至ります。遺伝性であると考えられています。子犬の時に発症する犬もいますが、キャリアーの場合は、子犬が発症するまでわかりません。
白内障
白内障には多くの原因があり、様々なタイプがありますが、若年性白内障は遺伝性疾患もしくは糖尿病などの内科的病気が原因であったりします。
眼瞼内反症および外反症
これは目蓋が内へ巻き込む、あるいは外に巻き込むもので、眼の炎症や痛みの原因となります。原因には、生まれつきのもの、外傷、その他の眼の病気の結果として出て来るものなどがあります。また、放置しておいても治らないものと一時的になるものがあり、年齢は関係ありません。生まれつきの場合、眼が開くまではわかりませんが、その後兄弟と比較すると常に涙で目の周りが濡れているといった症状で、発見されます。
股関節および関節の異常
ほとんどの犬種で様々な関節疾患が見られます。小型犬だから股関節形成不全はありえないとは言えません。チワワには膝蓋骨脱臼はよくみられます。
股関節形成不全
股関節の発育が正常についてゆけないことにより起こる異常で、発育途上にみられる場合と、成犬で慢性的にみられるものがあります。遺伝性の疾患と考えられています。幼犬では急に歩行困難になったり階段歩行ができなくなったりします。しかし1歳齢までに外見上治ってしまったようにみえることも多いようです。一見治ったようにみえても歩くときに頭が下がっているのは前肢で体重を支えている証拠で、またぎくしゃくした歩様であったり、左右の歩幅が違っていたりします。成犬にみられるものも若いときからの異常を引き継いでいるものと考えられますが、筋肉が十分関節をサポートしている時には症状はでなかったものがあるとき跛行や痛みを示すようになります。股関節に異常がないことを確認するためにはレントゲン撮影をして、専門家に診断してもらうことが必要です。
アメリカのOFAという機関では、レントゲン写真の診断と、正常な犬の登録、証明書の発行を行っています。
離断性骨軟骨炎(OCD)
この疾患は主に肩、肘、膝、踵の関節に発症します。この疾患が起こると関節が腫れ、痛みのために跛行をします。関節の可動域は減少するのが身体検査で明らかです。この疾患は複数の関節に同時発症することがよくあります。ブリーディングにおいて問題となるのは肘に生じるものです。(肘異形成とも呼ばれます)肘関節の骨の変化や骨の遊離によって、痛みや前肢のびっこの原因となります。この病気もレントゲン撮影で診断され、股関節と同様OFAでは診断と登録、証明書の発行を行っています。
膝蓋骨脱臼
これは膝のお皿が内側や外側に脱臼して(溝から外れて)歩行困難などの運動障害に加え、悪い方の後肢がねじれてしまう状態で、多くはトイ種・ミニチュア種・超大型犬種に遺伝的に起こる内側への脱臼です。重症の場合手術か必要となることもあります。軽症の場合は生活に支障はないかもしれませんが、遺伝的なものですからブリーディングに用いるべきではありません。
関節疾患の中には遺伝性ではないものもありますが、仮にそうであってもそのような犬を妊娠させるということは犬の体に多大な負担をかけることになります。関節疾患だけでなく、健康状態が万全でない犬は妊娠させるべきではありません。
その他
様々な犬種で遺伝性の心臓疾患があります。心臓の中に穴があいていたり、太い血管が胎生期にあった血管の名残でつながっていたりして動脈血と静脈血が混ざってしまう疾患や、大動脈が心臓から出て行く部分が狭くなっていたりするものがあります。
若い動物では手術で治す必要がありますが、正確な診断がついても手術自体が困難なもので心臓血管の専門医(日本では専門医の表記がありませんが)に紹介してもらうのがベストでしょう。また、定期的に経験ある獣医師に聴診してもらい異常がないか確認しましょう。アメリカでは、遺伝性心臓疾患が問題となっている犬種においては心臓専門医による公的な診断書を取得することが常識となっています。輸入犬の場合は確認してください。
・てんかんやアレルギー体質、その犬種にふさわしくない性格を持つ犬もブリーディングすべきではありません。
■遺伝性疾患の検査を直接申し込むことができる機関■
日本動物遺伝病ネットワーク(JAHD Network)は、動物の遺伝性疾患の診断、データベース構築を柱に、遺伝性疾患に関する科学的な研究、情報提供などを行っていく団体です。遺伝性疾患の診断・登録事業が日本国内で行われることになりました。
以下海外機関です
Vet Gen(U.S.A) :遺伝子検査/体毛色素遺伝子検査/唾液による親子鑑定/フォン・ウィルブランド病(vWD)ができます。
OFA(Orthopedic Foundation for
Animals):犬の腰と肘のレントゲン写真を保管しています。形成不全のないことの証明になります。
まんじろんさんの[OFA私的解説ページ]
OFAの検査を受けるためのハウツーサイト及び、OFA検査の普及促進を目指して作られたサイトです。
OFAの公式ホームページの見方や検査申しこみ書類の取り寄せ方、そのほかの話題などの紹介をしてくださっています。
CERF(CANINE
EYE REGISTRATION FOUNDATION):犬眼科登録協会。犬の眼科医に目を検査してもらった犬の記録が保管されています。進行性網膜萎縮や白内障がないことの証明になります。
参考資料 :
UltimateDogCare/SueGuthrie,DickLane,Geoffrey Sumner-Smithイラストで見る犬学/林良博 講談社
このページに掲載の文章は1999年開設の私の個人サイトより一部または全部転載したものです。記載の情報が最新であるかどうかは確認しておりませんのでご了承ください。