レビュー2008年06月30日 13時01分 更新
“音”を追求したHDMIケーブルが生まれた理由――サエク「SH-1010/810」 (3/3)“黒”“白”“水色”を使い分けよう前述した音のインプレッションは、すべて「プレイステーション 3」(PS3)で映像出力をアナログコンポーネントに設定し、パイオニア「SC-LX90」に接続した際のSACD再生に対する印象だが、金井氏の開発している「TA-DA5300ES」でも同様の音質傾向があったそうだ。上記の条件は、HDMIで音を送る際に最も良い条件であるため、条件が変化すると音の傾向は変わる。 そこでパナソニックのBDレコーダー「DMR-BW900」と「SC-LX90」の間をSH-1010で接続し、いくつかのBlu-ray Discソフトを再生させてみた。「Chris Botti:Live with Orchestra」(24ビット96KHz、リニアPCM)、「New Days Cerine Dion Las Vegas Concert」(24ビット96KHz、ドルビーTrueHD)、「i.Robot」(24ビット48kHz、DTS-HD Master Audio)の米国盤3タイトルで試してみた。 いずれのソフトも、ソフトウェアの映像が収録されている解像度(1080/60iおよび1080/24pの8ビット色深度)で接続している際には、HDMIに映像がのることによる音質差は非常に小さい。特にChris Bottiではどっしりと安定した低域が印象的で、ライブ録音の前者2タイトルは、いずれもコンサートホールに漂う音の余韻が程よい包み込み感を出してくれる。S/N感の良さはセリーヌのヴォーカルの透明感、i.Robotにおけるダイナミックレンジの見事な描き分けなどで確認できる。 ただし、解像度が1080/60Pに上がると音の密度がやや下がり、各色12ビット伝送のDeepColorになると、ホールトーンが明確に薄く、余韻が粘りなく消えてしまうようになった。とはいえ、これはどんなケーブルでも同じこと。そうしたなかで、情報量の多さや周波数レンジの広さ、明瞭な音像と押し出し感の強い中低域のパンチは、SH-1010ならではの美点として残る。 一方、白ケーブルのSH-810だが、低価格モデルながら端子部の構造がSH-1010と同じであり、これにより音像にしっかりとした芯が感じられ、質感の描き分けも丁寧。周波数レンジやS/N感、質感表現の幅はSH-1010に及ばないが、キリキリとした耳障りな音が出てこないので、手軽な音用ケーブルとして使いやすい。 いずれものケーブルもサエクの公式ページなどでは“高音質”をうたうだけで画質への言及がされていないが、実際に映像を映してみると、これがなかなか侮れない。恣意(しい)的なほどにコントラストが伸びて見えるタイプではなく、透明感が増して適度に明暗のレンジが広がったかな? といった穏やかな見え方だが、純色の彩度はキレイによどみなく伸びてノイズっぽさが少ない。 個人的には圧倒的に音質の良いSH-1010が一番のお勧めだ。しかし、価格の高さは導入時にネックとなろう。プレーヤーとAVアンプなどオーディオ機器をSH-1010で接続し、そこから先、ディスプレイにはSH-810、あるいは画質面で定評のある、水色のSupra製HDMIケーブルを用いるといった使い方が、それぞれの製品特性に合っていると思う。 メーカー側もそうした使い方を想定してか、SH-1010は短めに細かく長さの違うケーブルを用意し、SH-810には最大15メートルまでの長尺ケーブルをラインアップしている。
繰り返しになるが、開発段階から音質面を磨いた初のHDMIケーブル「SH-1010」は、高音質なBlu-ray Discソフト、PS3からのSACD/CD再生に対して非常に効果的だ。まずは最もよく利用するプレーヤーとAVアンプの間から使ってみてほしい。 関連記事
関連リンク[本田雅一,ITmedia] Copyright© 2008 ITmedia, Inc. All Rights Reserved. 07月01日 15時28分 更新「+D LifeStyle」の新着記事
おすすめPC情報テキストモバイルショップ
FEED BACKキャリアアップ
ピックアップ
|