子(ね)年の今年は、繁殖力旺盛なネズミのように繁栄がもたらされると期待された。株価上昇の願望も強かった。
半年がたち、残念ながら株価は低迷したままだ。東京株式市場は昨日の六月三十日、日経平均株価の終値が約二カ月半ぶりに一万三五〇〇円を割り込んだ。原油価格高騰などによる景気後退懸念が強まる。株式市場を取り巻く環境は厳しい。
一方で、投資を考える人もいるだろう。食料品など生活必需品が値上がりしているだけに、資産運用で少しでも防衛しようとし、定年を迎えた団塊の世代が、退職金を有利に運用しようとする。だが、株は損をすることもある。
「株は、この格言で買え!」(山崎潤一郎著、中経出版)には、株との賢い付き合い方が書かれている。成功へ導く珠玉の格言の一つに「買うのは企業、株ではない」がある。企業の株を購入するということは、その企業の将来を信じ、成長を応援すること。優良企業の株式を長期保有することが株式投資の大原則と説く。
「いのちの金には手をつけるな」もある。この格言が生まれた背景には、株で失敗し悲惨な状況に追い込まれた多くの現実があった。株売買は、ゆとりの資金で余裕の判断が肝心だ。
一獲千金など夢物語である。うまい話に潜む怖さを知っておかなければ。