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■ ■ ■ ■ ペットビジネスの転ばぬさきの杖
■■■■ ■■■■ ■ メールマガジン 2003/07/18
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■ ■■■■ ■ 「ペットビジネス専科」10号
「ペットビジネス専科」はペットビジネス相談室で、日頃相談事例の多いテーマを順次取り上げていきます。
1号から10号までは子犬の繁殖がテーマです。
日本畜犬学会を窓口とし、多くの団体、専門家のご協力を得て刊行されます。
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繁殖のまとめ「ブランド犬を作ろう」
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ペットブームを支えているのは子犬や猫のブリーダーです。
ペットフードや器具の流通も、トリミングサービスやペットホテルでさえも生体なくしては成り立ちません。
それならブリーダーはしかるべく優遇されているかと言うと、全く弱い立場にあまんじています。
ペットビジネスの中でも、特に生体販売はブローカーやペットショップの独壇場で、いったんブリーダーの手を離れた子犬は文字通 り独り歩きします。 ブリーダー名を明らかにして卸売りする事はブローカーにとっては流通 経路が解明されてしまう恐れがあり、好ましい事ではありません。
ペットショップにとってはブリーダー名が明らかになる事で最悪の場合、子犬 の仕入れ値段が消費者に知られる事になります。
九州のAというブリーダーが産ませた子犬を東京のBペットショップで買った場合、血統書上では繁殖者名はBペットショップの代表者の名前になっていたりします。
実際の繁殖者でなくても血統書を作る事ができる仕組みは、誰れが誰れのために考えたのでしょう。
AブリーダーはBペットショップに渡す子犬については血統書に関与した事がないとさえ言っています。
昔の血統書には繁殖者の住所が正確に記入されていましたが、現在発行されている血統書では繁殖者を特定する事ができません。
ペット業界では消費者が繁殖者名を知る事は望ましくない構図になっているのです。
さて、現代社会はこのような閉鎖的な流通慣習をいつまでも容認する事はありません。
子犬や猫の繁殖者名が消費者に明らかになる事で困るのは流通業者に限られているのですから、少しばかり消費者の意識が変わり、少しばかり流通 のルートが変わればペット流通の見えなかった部分が浮き出てきます。
多くの業界、多くの商品で言える事ですが、インターネットの発達によって消費者は問屋や商店を通 さず、生産者から直接、生産品を入手できるようになり ました。
ペットの場合に生産者直売は実に望ましい事であって、値段の問題ばかりではなく生体の健康問題(特に感染症)を考える時、ブリーダー直売は理想的な分譲方法なのです。
昨今インターネットのホームページを利用したブリーダーによる生体の直販が着実に増加しています。
現状では、ブリーダー自身がホームページを立ち上げる事が困難と言う一面もあるものの、ブリーダーの子犬出産情報の公開を代行するサイトなどが多くなっており、ペットのブリーダー直販の動きは加速するでしょう。
この先、ブリーダーはペット流通の主役としてその立場を明確に主張すべきです。
欧米ではペット流通の主役はブリーダーであり、決して消費者に対し従属的でなく「売るか売らないかは私が決める」と言う独特の文化を確立しつつあります。
欧米ではペット流通に際して、ブリーダー名はペットショップ名より明らかに重要で、ペットショップが売買の仲介をする場合であってもペットショップは斡旋業に過ぎません。
ブリーダー名はそのままブランド名であり、良質の生体の作出者は一流ブランドとして認知され社会から高い評価を受けます。
もちろん我が国の現状はまだまだですが、好むと好まざるに関わらず、ブリーダーは意識の変革をせまられる事になるでしょう。 少なくとも「右手でお金を受け取り、左手で犬を渡す。」と言うような悪しき 慣習は過去のものとなるでしょう。
ブリーダーは高い犬質を追求する努力を怠らず、自らの作出犬にプライドをもち、社会の評価相応の価額で子犬を分譲すべきです。
もともと犬の名の後に付く「犬舎号」と言うのはブリーダーのブランド名であって、地道な繁殖活動を続ける事によって自分ブランドが社会に認められるようになります。
一般消費者の目にも「繁殖」と「増殖」の区別は明確で、努力が報いられる日は必ず来ます。
ブリーダーによる直販が容易となった今こそ、繁殖者は自分ブランドを確立して社会に名乗りをあげるべきです。
もちろん直販と取り組むには売買当事者としての責任意識をもつ事も必要です。 「製造物責任法」は生体とて例外を許さず、すでに鶏や魚にまで摘要されています。
ブリーダーが生体を直販する場合には、死損や生体特有のトラブル、リスクを背負ってきたペットショップの役割りをブリーダー自身が果 たさなければなりません。
「動愛法」は動物販売者の義務を明確に定めており「生き物は例外」と言う主張は通 用しません。
ペット流通の仕組みが解明されつつある事で、この分野への企業の新規参入も盛んです。
ペットの流通革命を旗印に子犬の繁殖を事業とする企業や、繁殖から流通、アフターまでの大構想をもって参入する組織も現われています。
出産子犬の買い取りを前提とした「繁殖事業参入説明会」なども定期的に開催されるようになりました。
消費者がペットをブランドで選ぶ日も遠くはありません。
インターネットはペット業界の常識や慣習を根底から覆す力をもっています。
ブリーダーのみならず、インターネットを敵に回しては将来はありません。
次回第11回テーマは「ペットショップ開店、その前に」です。
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