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テーマ「出産子犬をどう売るか」

詳細
 

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 ■  ■ ■      ■     ペットビジネスの転ばぬさきの杖
 ■■■■ ■■■■   ■     メールマガジン  2003/07/04
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 ■    ■■■■   ■     「ペットビジネス専科」 9号
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「ペットビジネス専科」はペットビジネス相談室で、日頃相談事例の多いテーマ
を順次取り上げていきます。
1号から10号までは子犬の繁殖がテーマです。
日本畜犬学会を窓口とし、多くの団体、専門家のご協力を得て刊行されます。

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          テーマ「出産子犬をどう売るか」
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(問い)
出産子犬の出荷先について教えて下さい。
有利に売れる方法から順に説明して下さい。                           (徳島県・Y)
(答え)
養豚などの畜産関係の方と犬の繁殖の話題になった時に、いつも行き着くのが出
荷の問題です。
畜産業では一業者が相当数の出荷をしても市場価格が変動する事はないでしょう
し、国の政策で値段の下限が保証されたりしています。
ペット業界では、余程の人脈に恵まれていない限り、同一種の子犬を多数出荷し
ようとすると値を下げてしまう事になります。
犬のセリ市場などでは、その日ある種の子犬の出荷が多いと買い手は強気になっ
て値を付けず、最後の方で安く買おうとします。
繁殖と言う仕事は、交配から離乳までをうまくこなすだけでは不充分で、子犬を
売る段階でも技術を要するのです。
さて子犬の出荷にあたっては、売り先はともかく牡から先に売る事を心掛けて下
さい。
最悪売れ残る事を考えると、牝は売れ残っても繁殖に使えるので大きくなっても
値が下がりません。(むしろ歓迎されます) このため、牝を幾分高く値付けする
のが普通です。
「有利に売れる方法から順に・・。」というご希望ですが、多くの方に理解いた
だきたいために逆になっています。

1.セリ市場で売る。
私的に運営されるものですが、全国に何カ所かの子犬、猫のセリ市場があります。
いくらかの入会金をとるケースが多いですが、特に資格は問われません。
一般に言える事ですが、セリは市場への到着順に行われるので早く会場に着く事
が必要です。
いわゆる「おなかいっぱい」の状況になると買い手が値を付けないからです。
売却金は5%程度(セリ市場の利益)を差し引いて、数日から1週間後に支払わ
れるのが普通です。
値を決めるのは買い手ですから、出荷者にとっては不本意な結果になる事も多く
、初心者にとっては最後の出荷手段と考えるべきでしょう。
それにしても、この市場に行くと全国の大小ペットショップから仕入れに来てい
て、ショップによって売り値はまちまちなのに、仕入れは同じなんだなあと妙に
感心したりします。

2.買い取り契約。
ペットショップをチェーン展開しているような相手の場合には「すべて買い取る」
と言う約束をするケースがあります。
ショップ側から見ると直営(専属)繁殖場と言う訳です。
繁殖者は売る苦労からはまぬがれる訳ですが、先方の「すべて買う」メリットは
何かと言うと「安い」と言う事ですから、良い事ばかりではありません。
この約束は繁殖者が解除できる内容なら良いのですが、多くの場合、台犬を買い
手側が供給していたりして、約束を守らざるを得ない状況にあるようです。 血統
書を買い手側が管理している例が多く、やみで売る事ができないような仕組みに
なっています。
仮りに、やみで売ったとしてもこの業界は狭いのですぐにバレてしまいます。

3.情報センターを利用する。
「日本ペット情報センター」と言う組織があって、全国の子犬、猫の出産情報を
ペットショップなどに配信しています。
情報センター活用の利点は、出産直後から登録できる点です。
登録料は無料です。
情報を受信(有料)していれば、全国の相場も分かりますから高値から調整して
行き、離乳時にはすべて行き先が決まっていると言うケースが多いものです。
情報センターでは一般的にセリ市場よりは高く売れるようです。
特に特殊犬種は情報センターが有利です。 さすが全国組織で、セリ市場なら「持
って帰れ」とヤジが飛ぶような特殊犬種 でも引き合いがあります。
ほとんどが空輸になりますから、空港での発送手続きに慣れる必要があります。
余程信用できる相手でない限り、入金を確認してから子犬を発送すべきです。
「土曜の客は恐い」と言うのがあって、「今日は振り込めない・・」「どうして
も明日欲しい・・」と言う話を信用して発送したが、月曜に入金されない事が結
構ある世界です。

4.やっぱり直売
お勧めしたいのはやはり直売です。
値段の点ではもちろん、愛情込めて育てた子犬のためにも最も良いからです。
この業界は、売れるまでに3割死ぬと言われて来ました。
ペットショップの陳列に元気な子犬を10頭並べるためには、隔離された部屋で
3頭を看病する。と言うような事がまじめに言われて来ました。
こう言う事態を見込んで小売り値段は付けられているのです。
インターネットの普及は繁殖者による子犬の直販にきわめて好都合です。
繁殖者が他の出荷方法の2倍で売ったとしても、消費者はショップで買う2分の
1で買えるなんて、まさしく「革命」です。
出産直後からデジカメで写真を撮り、ホームページで全国の愛犬家に見てもらい
ます。
自分でホームページを公開しなくても、こう言う活動を助ける無料のサイトが沢
山あります。
インターネットのおかげでペットビジネスに関する限り日本中「地の利」はなく
なりました。
近くに空港と銀行さえあれば、子犬の繁殖で生計を立てる事は充分可能です。

さて、八百屋のカボチャに生産者の氏名が表示される時代に、何十万もする子犬
にどうして繁殖者の名前が無いのでしょう?  
     次回「繁殖」の最終回テーマは「ブランド犬を作ろう」です。

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