メールマガジン「ペットビジネス専科』
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テーマ「繁殖の予期せぬ出来事」

詳細
 
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 ■  ■ ■      ■     ペットビジネスの転ばぬさきの杖
 ■■■■ ■■■■   ■     メールマガジン  2003/06/20
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 ■    ■■■■   ■     「ペットビジネス専科」 6号
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「ペットビジネス専科」はペットビジネス相談室で、日頃相談事例の多いテー
マを順次取り上げていきます。
1号から10号までは子犬の繁殖がテーマです。
日本畜犬学会を窓口とし、多くの団体、専門家のご協力を得て刊行されます。

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          テーマ「繁殖の予期せぬ出来事」
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(問い)
K犬に初めて子犬を産ませました。
6頭の子犬が産まれ、数日経った頃から気になっていたのですが、2頭だけが
色や毛の質、頭の形が違うのです。
犬に詳しい友人は「雑種ではないか」と言います。
交配の現場は見ていませんが、ペットショップに依頼して同色のKと交配して
もらいました。
4頭はどう考えてもKだと思うのですが。(栃木県・G)

(答え)
■同期複妊娠
ペットショップで交配を終えた後に、どこかで他の犬と再度、交雑してしまっ
た結果だと思います。
同期複妊娠と言い、1度目の交配ですべての卵子が受精しなかった場合におこ
ります。
つまり、同時に別の父親の子供を産んだわけですから、この例では4頭が純粋
種で2頭が雑種(ミックス)と言う事になります。
少なくとも、2度目の交配は自然交配ですので、最も妊娠の確率の高い時に交
雑がおこります。
今回は産み分けましたが、「純粋種と交配したのに雑種を産んだ」と言うトラ
ブルの方が多いようです。
昔はこう言う母犬は「再び純粋種を産めない」と言う説があり、今でも信じて
いる人がいますが、科学的に考えればそのような事はありません。
この例では「事故」ですが、牝犬のシーズン中に複数の種牡を交配して受胎率
を高める事はしばしば行なわれていました。
血統管理上は問題がおこりますが・・・。

■逆子(尾位)
逆子は悪い事のように言われていますが、犬のお産では、逆子はけっこう多く、
乱暴な言い方をすれば半分は逆子です。
犬では逆子である事が難産に直結する事はなく、むしろ難産は他の要因が多い
ようです。
最近流行の小型犬の難産の例では、過大子、つまり小さな親が大きな子を産む
場合です。
犬種の体格が異なっても産子の大きさには大差なく、小型犬では相対的に母体
の負担が大きくなり、特に産子数が1頭か少ない時に起こりやすく、帝王切開
に至る例もありますので、万が一のために懇意な獣医と連絡がとれる状況が必
要です。
一般に飼育者は犬の妊娠を確認すると母犬に過剰な栄養を与えがちです。
子犬の骨格や体の重要な部分に対する栄養は、むしろ妊娠前の母犬の栄養状態
が影響を及ぼすもので、繁殖期以前の計画的な栄養管理が重要です。
小型犬は多産ではないために、お産のリスクも高く、数だけで言うと有利では
ありません。その分、子犬の流通価格が高くなっています。

■出産した子犬を食べてしまう
突発的な出来事なのですが、その母犬にとっては習慣になってしまうケースが
多く再度繁殖には使えません。
過度な「母性本能」と言う説明がされ、ダルメシアンに多いなどと聞かされて
いましたが、確証はありません。
筆者の経験では、この問題はむしろお産の環境の影響が大きいと思います。
慣れない場所でお産をさせたり、もの珍しさに人が集まったり、母犬に「子供
を盗られる」と思わせるような状況をさけるべきです。
産子が死胎で変性している場合には、胎盤に続いて食べてしまう事はしばしば
有ります。

■母乳が出ない(代理母)
代理母は、一般の家庭では現実的ではありませんが、多頭飼育の繁殖所ではよ
く行われます。
他の犬が産んだ子犬を、同じ時期にある母乳のよく出る別の母犬に育てさせる
方法で、帝王切開の場合などには便利な方法です。
本来の子犬の尿などを、追加する子犬の体に塗り付けて臭いをごまかします。
母犬を見えない場所に移しておいて、子犬を混ぜてしまい母犬を戻します。
(万が一に備え、観察は必要です)
犬種や、あきらかに毛色が違っていても問題は起こらないようです。
これは案外、人間はごまかしたつもりでも、犬は分かっていて、ボランティア
と割り切っているのかも知れません。だとしたら「ごまかしの作業」は滑稽で
すね。

■想像妊娠
想像妊娠は交配をして受胎しなかった場合にも、交配をしない場合でも起こり
ます。
ホルモンの影響と言われますが、妊娠の徴候や出産すべき時期には泌乳や出産
徴候も現れます。
授乳期には、ぬいぐるみなど、子犬に見立てた物にミルクを与えるべくお腹を
添わせて寝たりします。
人間で言うつわり状態や、精神的な不安定も観察されますから不思議と言う他
ありません。
想像妊娠は習慣になる事が多いようです。出産の経験をさせると、その後は想
像妊娠がなくなったという話もよく聞きます。

■自然淘汰(?)
まれに特定の子犬だけを早い時期から育てようとしない母犬がいます。
人間にははかり知れない本能的な行動かもしれません。
もちろん子犬は死んでしまいます。口蓋裂などの子犬も生存できません。
現在では人工哺乳などによって助けることは可能でしょう。
助ける、自然にまかせる、どちらが動物愛護なのでしょうか。
「雑種犬は強い」という話をよく聞きます。
何代にも渡る淘汰を経て強いものだけが残った結果だと思います。

      第7回テーマは「職業としてのブリーダー」です。

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