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テーマ「産まなくなった親犬はどうするの?」

詳細
 
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 ■  ■ ■      ■    ペットビジネスの転ばぬさきの杖
 ■■■■ ■■■■   ■    mail magzine   2003/05/30
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 ■    ■■■■   ■      「ペットビジネス専科」 3号
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「ペットビジネス専科」はペットビジネス相談室で、日頃相談事例の多いテー
マを順次取り上げていきます。
日本畜犬学会を窓口とし、多くの団体、専門家のご協力を得て刊行されます。

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       テーマ「産まなくなった親犬はどうするの?」
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(問い)
弊社には閉鎖した工場がいくつかあります。
この工場の跡地利用について、社内でアイデアを募り、研究したところ、最終
的な候補として「犬の繁殖業」が残りました。
さて社内にはたくさんの愛犬家がおり、社長も犬好きで、大方の流れがGOと
なり、可能な限りの情報を入手して着手することになりましたが、会議の席上、
社員の一人が「産まなくなった犬はどうなるんや?」と言い出しました。
しばらく沈黙の後。
「始める前でよかったな。・・」と社長が言い、繁殖の話は立ち消えになって
います。
社長の最後の一言「みんなどうしとるんやろ?」がそのまま今回の相談です。
                           (兵庫県・D社)

(答え)
事業規模での子犬の繁殖が、あまり見られない最大の理由がまさしくここにあ
ると思います。
利益効率だけを追求した場合には、子犬の繁殖はおそらく他の生体を扱うほと
んどの事業をしのぐ試算が成り立つでしょう。
で、ご想像の通り、今回の問いに対する「なるほど」と言う答え(名案)はあ
りません。
多くのブリーダーが今まで、どうして来たかをご紹介するにとどめます。

1、最期まで飼う。
犬の繁殖は、養鶏や畜産業界など「食べる」事が前提の動物飼育と、同列に考
えることができません。
最もあたりまえで、根本的な考え方が「最期まで飼う」方法でしょう。
小規模な繁殖家(愛犬家)はごく普通にこの事を行なっています。
「この子にえらい世話になったんやから、最期まで面倒みるのがあたりまえや
んか」と言うところでしょう。
事業規模でこの方法を実行するとなると、平均的な犬の一生の内、出産可能な
年月は約半分ですから、当初の試算の次の部分を2倍にする必要があります。
餌料費用、設備の広さ、人件費。

2、「誰かに、かわいがってもらいたいわ」という説も説得力?があるにはあ
ります。
地域のミニコミ紙などで「・・譲ります」などの広告を見かける事があります。
もちろん「・・譲ります」の広告がすべてではないのですが、繁殖犬としてピ
ークを過ぎた犬を無償で譲る方法です。
筆者はこの方法の是非を論ずる立場にありませんが、この方法での成犬の譲渡
では、譲り受ける側に、重大な「覚悟」が必要です。
多くの場合、これらの犬(繁殖犬)には基本的な「しつけ」がなされておらず、
一般家庭に迎え入れるには、相当な忍耐と包容力が要求される事はご想像通り
です。
悲しい事に、一度手放された犬は、二度目は平気で手放される事が多く「かわ
いがってもらえる」ケースがどの位あるのか疑問でもあります。
ともかくこの方法は、企業として繁殖に参入する場合に通用する方法とは考え
られません。

3、D社の会議は、社長さんの言葉で終わったようですが、その先もさらに会
議を続けた会社がありました。
「産まなくなった犬は?」の疑問に対し、会議に出席していたXさんが「自分
で飼育コストを稼がせよう」と提案したのです。
これが犬の動物園の発端です。(すべてではありません)
結果として動物園の入場料収入が飼育コストを賄ったばかりでなく、人間のコ
ストまで稼いでいるのは皆様ご存じのとおりです。
そう言えば、犬の動物園の犬、メスが多いですね。
犬の動物園の出口は必ず子犬売り場になっているのも納得。
「ふれあい広場」で犬と遊び、顔がほころぶ我が子を見ると、親の財布の紐も
ほころぶと言うものです。

(参考)
1、かつては製薬会社などが、実験動物として、他の動物とともに、大量の犬
  を必要とした時期がありました。
  近年は動物を使わない代替実験やデータベースの活用が主になりつつある
  と.........。聞いております。
2、かつては獣医師養成課程を設置する大学が、実験動物として、他の動物と
  ともに、犬を必要とした時期がありました。
3、犬の繁殖事業はペット用のみではなく、最初から実験動物として飼育する
  施設もあります。
4、市町村が「不用犬ポスト」を設け、猛烈な反対運動がありました。
  このポストを利用したのは、やむにやまれぬ愛犬家ばかりではなかったよ
  うです。
5、念のため。
  「動物の愛護及び管理に関する法律」第5章 第27条 の3に、 
  「愛護動物を遺棄した者は、30万円以下の罰金に処する。」とあります。

    第4回テーマは「犬の繁殖で、だまされないために」です。

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