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■ ■ ■ ■ ペットビジネスの転ばぬさきの杖
■■■■ ■■■■ ■ mail magzine 2003/05/16
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■ ■■■■ ■ 「ペットビジネス専科」創刊号
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メールマガジン「ペットビジネス専科」はペットビジネスへの参入を計画さ
れている個人や法人、あるいはすでに子犬の繁殖や流通を始められている方
のために、有益な情報を提供する事を目的として創刊されます。
日本畜犬学会を窓口とし、ペット関連の多くの団体、専門家のご協力を得て、
日頃相談事例の多いテーマから順次取り上げていきます。
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第1回テーマ「犬の繁殖はもうかりますか?」
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(問い)
数カ月前にR犬を東京のペットショップで求めました。
血統書が来て判った事ですが、生まれたのは私の出身地である熊本県で、7頭
生まれた内の1頭でした。
私はおもわず、自分が買った値段に7をかけてしまい、犬の繁殖はずいぶん儲
かりそうだと考えたのです。
熊本の実家には利用していない土地もあり、人手もあります。
犬の繁殖を事業にする事は可能でしょうか?(東京都・A)
(答え)
1.まず、買った値段に7をかけるのは正しくありません。
熊本でのR犬の生産者価格は2〜3万程度、熊本空港を飛ぶ時に5〜6万、東
京で消費者に売られる時に10〜15万と言うところでしょう。
生産者自身が東京で小売りしない限り、ご希望の金額にはなりません。
ところで、生産者価格は2〜3万ですが、空港から出荷して5〜6万なら充分
採算が合いますよね。
2.生産者と、空港から子犬を発送する人物が、通常は別人である事に注意し
て下さい。
Aさんがデパートの地下でサンマを400円で買ったとします。
漁師は儲かると考えますか?
漁師はサンマを漁るのが仕事で、直接魚屋に売ったりしません。
子犬の流通も同じです。犬の生産者は限られた種類の犬を飼育しており、年に
2回しか出産しませんから、いつも子犬が居るわけではありません。
都市部のペットショップから見ると、犬の生産者と言うのは「問屋」としては
役不足なのです。
ここで、たくさんの犬の生産者を傘下にもつ仲介者(問屋?・ブローカー?)
の出番です。
3.仲介者は傘下の生産者(古くから「畑」と呼ばれています)に対し、交配
の世話、業務用フードの供給、血統書の申請代行などを行うかたわら、畑の産
物(各犬種の生育状況)を常に把握しています。
仲介者は都市部のペットショップからの注文に合わせて、畑から子犬を買い上
げ、空港から出荷するのです。
すなわちあらゆる種類の子犬を手配できることが問屋の条件なのです。
仲介者は畑に対し、出産子犬の買い取りを約束しているケースが多いですから、
それなりのリスクもあります。
つまり、あらゆる生産物は流通上のリスクを見込んだ金額で買い取られて行く
のです。
1本数円のサンマが400円になる仕組みとよく似ています。
4.さて、この閉鎖的な業界にも全く新しい風が吹き始めています。
ホームページを利用して、生産者、仲介者、ペットショップがそれぞれ直接消
費者に直売するケースです。
インターネットはペットの流通を根底から変えて行きます。
この先、犬の繁殖を手掛けようとする人は、子犬を産ませるプロである前に、
流通のプロであるべきです。
5.余談ですが、熊本を始めとする九州地方は繁殖事業に好適な地域です。
気候もさることながら都市部(消費地)への航空直行便が出ているからです。
静岡、栃木、山梨など東京から微妙に離れた県は、子犬の移送にコストと人手
と時間がかかるため不利です。
(知っ得)
我が国には1万7千人のブリーダーが居るが、専業は1000人未満。
規模は1〜300頭。
子犬は熊本から広島のように航空路線の無い場合でも、東京で載せかえて広島
に着く。宅配便で犬は送れない。
犬の繁殖事業は県知事への登録(許可制ではない)が必要。
場合によっては立入調査もある。10頭以上の飼育には許可が要る地域もあるの
で事前調査が必要。
現在、インターネットでペットの通販が大はやりですが、本当の生産者が直売
している例はほとんどない。(漁師が魚を売っている例が無いように)
販売ルートを確保してから繁殖を始めるのが筋。
事業レベルで繁殖をお考えの場合には「ペットビジネス相談室」(無料)への
ご来所をおすすめします。
第2回テーマは「高い犬の子犬はなぜ安い?」
第3回テーマは「産まなくなった親犬はどうするの?」です。
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発行しています。
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【発行元】日本畜犬学会
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