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<西日本新聞12月17日朝刊−いじめ自殺の周辺5>より抜粋

会話は突然、打ち切られた。福岡県筑前町立三輪中2年のある生徒宅。自殺した少年=当時(13)のいじめに関係したという本人から話を聞いている最中だった。

玄関口で少しずつ口を開き始めたわが子をみとがめ、母親が割って入った。「話すことなんか、何もないですっ」

少年の自殺から2ヶ月余り。一連の報道で「筑前町」「三輪中」は全国に知れた。その”騒動”に戸惑い、反発が入り交じり、親たちはなお警戒心を緩めずに拒絶反応をしめす。

 「うちの子の方がいじめられていた」「前から、死にたいって言っていたというじゃないですか」・・・。

そんな声も聞こえる。いじめにかかわったとされる生徒たちは、既に遺族宅を訪れ謝罪しているが、親が付き添ったケースは少ないという。

依然姿を見せない親もいる。

「何がいけなかったのか。向き合おうとしている子はいるはずなのに、そうさせないようにしているのは親じゃないですか」。

遺族に同情的な母親の一人はもどかしさを募らせる。
 

「おはよう。行ってらっしゃい」。中学校の校門前では、そろいのジャンパーを着た父母たちが毎朝、登校する生徒一人一人に声を掛けている。

「事件直後に比べると、生徒たちもようやく落ち着きを取り戻してきました」。母親の一人は安堵の表情を浮かべた。

だが、その光景を撮ろうとレンズを向けた瞬間、顔を背け、漏らした。「良いことでも、悪いことでも、もう書かんで」

学校や町教委に、やむにやまれぬ思いをぶつける遺族に対し、地域では心無い言葉もささやかれている。

遺族を支える父母の一人は、ある保護者に遺族を訪ねて慰めるよう頼んだ。

当人はいったん了承したが、しばらくして返ってきたのは 「私が訪ねると○○(遺族の名字)派と言われる」だったという。

高校受験を控えた3年生やその親への影響を思ってのことなのか。 遺族に直接「もうあんまり騒がない方がいいですよ」と忠告する住民もいる。


少年が自殺した日、学校のトイレで、他の生徒と一緒に少年を囲んだとされる同級生。

その子を伴って既に遺族宅を訪ねている父親は、重い口を開いた。

「『いじめ』か『ふざけ』かと聞かれたら『ふざけ』と思う。でも多人数で囲んだのだから、それは(世間では)通用しない」
そう思いながらも「たまたま、あの場にいただけ」と、息子の行為すべてをいじめと批判されることに割り切れなさがにじむ。

 同級生のある母親は「本当のところはどうだったのか。娘に聞きたい気持ちはあるが聞けない。明るさを装っているけれど、
心は傷ついているようだから」と現在の心境を語る。

 「うちの子を含め同級生、保護者は一生、何かを背負って生きていかねばならないのでしょう。

ご遺族のわが子を思う気持ちが痛いほど分かる。分かるからこそ、私もわが子を守りたいのです」。別の母親は心情を社会部に寄せた。

少年の自殺から数日後の保護者会。衝撃が冷めやらぬ中、同級生の保護者の一人が切々と訴えた。

 「私の子供は、いじめやクラスの様子の変化に気づかなかった。級友の動きに鈍感だった子を育てたことが悔しい。

いじめに気づいていたと言うお子さんもいたが、何かしてあげられなかったのか。保護者として私たちも(問題を)真摯に受け止めましょう」

 保護者が、わが子と、さらに今回の「事件」と向き合うには、なお時間が必要なのだろうか。

<西日本新聞12月17日朝刊−いじめ自殺の周辺5>より抜粋
2chより_投稿者によるテキスト化
     

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