福岡県筑前町の中2自殺問題で、生徒の両親に調査委員会の中間報告が手渡された。両親は報道陣に「きちんとした因果関係まで出ると思った。とても満足できるものではない」と感想を述べた(12日夜、福岡県筑前町)(時事通信社)09時42分更新
短い髪に学生服姿。玄関先に姿を現した生徒(14)には、まだあどけなさが残っていた。
師走の風が吹き抜ける夕刻。
中学2年で自殺した少年(13)が1年生の時、同じクラスだった子を訪ねた。
普段から少年に「死ね」などと言っていたという。
「気持ちを聞かせてほしい」。記者の突然の申し出に戸惑いつつも、とつとつと語り始めた。
─後悔している?
「後悔というか・・・複雑な気持ち」
─なぜ複雑なの?
「よく言い表せない」
─いじめたつもりじゃなかったから?
そう尋ねた後だった。思いがけない言葉が返ってくる。
「自分は・・・友達だったから・・・」
やりとりは数分続いた。消え入りそうな声だが、目線は真っすぐにこちらを見据えている。
ただ、どこか「いじめ」と非難されることへの割り切れなさを引きずっているようにも見えた。
自殺当日、少年から「死にたい」との言葉を聞いたという。
「いつも冗談が多かったんで・・・。また冗談かと思って」。
自殺の動機に話が及ぶと一瞬考え込み、答えた。
「それは・・・分からない」
同級生らの証言によると、少年をいじめていたのは、この元同級生ら長期にわたり「死ね」「うざい」「消えろ」などと繰り返していたグループだけではない。別に自殺当日、校内のトイレでズボンを脱がせようとした生徒たちがいた。
彼らも少年が「死にたい」と言うのを聞いており、トイレでは「いつ死ぬとや」「脱がそうや」という言葉が飛び交わったという。
遅れて入ってきた同級生(14)が見たのは、すでに数人から床に倒されていた少年の姿だった。
誘われるがままに服のボタンに手をかけた。だが、少年の抵抗で未遂に終わる。
「少年は笑顔だった」という証言がある。この同級生は「冗談のつもりだった」と言う。
笑顔、そして、ここでも出てくる「冗談」という言葉─。その裏に隠されていたであろう痛みに、想像力は及ばなかった。
これより前、少年は遺書の一通を書いた。
そのとき、遺書を見たこの同級生は軽い乗りで「バイバイ」と答えている。
「(本気ではなく)明日も学校に来るよねと思った」と振り返る。
それから”トイレ事件”の1時間後、少年は自ら命を絶った。
「あの子が死んだことの重さを感じているとは思います。でも・・・」
自殺した少年の両親は、いじめにかかわった生徒たちの本当の気持ちを測りかねている。
「『死ね』と言い続けた一人の子は『自分が同じようにされたら死にたくなる』と言っている。
それだけひどいいじめだった、という認識はあったんだと思います」
だが、彼らの一部は自殺後も、教室でおどけた様子で「せいせいした」「おれ、のろわれるかも」と口にし、葬儀でひつぎの中を笑いながらのぞき込む姿を目撃されている。「笑って送ろうや」。そんな言葉もあったという。
両親は今なお胸が張り裂けそうな思いに襲われる。
「トイレでのことはちょっとやり過ぎかな。でも『死ね』とかは、ムカついたときなら普通に言いますよ」。
いじめた生徒の一学年上の兄は弟らの思いを代弁した。
「みんな冗談に受け取るんだけど、(亡くなった少年は)本当に言われよると思ったんだろう。
彼の気持ちに誰も気づける人がおらんかったのがいけんかった」