川崎市の中心部と東扇島を結ぶ唯一の一般道「川崎港海底トンネル」で、路面が冠水する事態が起きている。管理する市は応急工事を講じたが、水は止まらない。通行車両が水しぶきを上げる状態が続いており、利用者からは事故の危険性や物流への影響を懸念する声が上がっている。
現場は市心部に向かう上り(北行き)の東扇島寄り。場所により、くるぶしが浸る程度の深さがある。市港湾局によると、路面から塩分を含む地下水がしみ出し、トンネル中央の最深部まで約三百メートル流れている。排水ポンプは正常に機能しているという。
六月六日に把握し、二十一日と二十七日にアスファルトを敷き直したが効果はなかった。三十日からは片側二車線のうち一車線を規制。市はジョイント部に原因があるとみており、一日から三日間の予定で、復旧に向けて本格工事に着手する。
東扇島には冷凍倉庫などが集積。トンネルは物流の動脈であるほか、人工海浜で話題になった東扇島東公園の利用者なども行き交う。
一日五、六往復するというトラック運転手(53)は「車体がさびるので洗車が大変で、特に食品を扱うトラックは車体の汚れは信用にかかわる。バイクも走るため事故も心配だ」と、市の対応の遅さを批判する。
トンネルは一九七九年十月に完成し、二十九年目。延長は二千百八十メートルあり、地盤が軟弱なため鋼板で囲った鋼殻工法を採用している。
海底トンネルは今年で開通五十周年を迎えた関門トンネル(山口・下関―福岡・門司)が有名だが、西日本高速道路会社(NEXCO西日本)の広報担当者は「塩分を含む地下水が道路にしみ出すことは聞いたことがない」と話している。
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