【静岡】脊髄性筋萎縮症と闘う浜北の池谷さん ブログは社会との接点2008年7月1日 仕事や団体で人間関係築く全身の筋力が低下していく神経の難病「脊髄(せきずい)性筋萎縮(いしゅく)症(SMA)」で車いす生活を送る浜松市浜北区貴布祢の池谷直士(なおひと)さん(38)。ブログの公開や筋ジストロフィー会の会長を務めるなどして社会との接点を持ち、毎日が忙しい。「病気でも人間関係はつくれる。積極的に外に出てほしい」と、閉じこもりがちな人たちを力づける。 (浜北通信部・河野貴子) 生まれた時から手足に力がなく、3歳でSMAと診断された。「5歳までの寿命と言われた」と、母エリ子さん(63)は振り返る。今は首から上と手が少し動く。西部養護学校高等部を卒業後、約5年間、父親が経営する会社などで事務の仕事をした。 パソコンは10年前、友人から30回ほど特訓を受け、半年ぐらいかけて習得した。50センチほどの棒を両手で支え、左耳の下に当てて固定し、素早くパソコンのキーを打つ。 ブログ「生きてるだけで丸儲(まるもう)けっ!!」は、ほぼ毎日更新。待っている友人やファンも多い。1日の大半はパソコンの前。毎日20−30通届くメールに返信し、出来事をブログにつづっていると「1日があっという間に過ぎる」という。 浜松筋ジストロフィー会の会長職は4年目に入った。洋食や回転ずしが好きで、週1回ぐらい食べ歩きに出る。神職養成講座で身に付けた知識で方位や姓名判断などの仕事をしており、1日に2、3人が訪ねてくる。 小児科医の妻真苗さん(32)とは浜松医大のボランティアサークルで知り合い、4年半前に結婚した。7月下旬には初めての子どもが生まれる。池谷さんは「自分の子どもを持つことがいまだに信じられない」と言いつつ「生まれたらブログに載せたい」とにこり。 「不自由はあるけど、不幸だと思ったことはほとんどない」と池谷さん。夢は二つある。「世の中に『いい家庭』をもっともっと増やすこと。周りに感謝するとか、心のあり方で変わる。ブログなどを通して伝えていきたい」 そしてもう一つ。「子どもを社会に役立つ人間として送り出すこと」
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