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混迷深まる日本経済

2008年7月1日

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 企業が賃上げに踏み切り、サラリーマンの所得を増やせば消費拡大につながる。賃上げこそ、日本経済の活性化の特効薬だ――。著名な評論家や労働界の代表者、経済担当閣僚をはじめ、総理までもが口をそろえてきた。

 デフレ経済とゼロ金利で所得が伸びないと思ったら、今度は突然の資源バブルとも言える原油や穀物の価格高騰で、国内物価は急上昇中だ。「貯蓄より投資」と政府は国民をせかしたが、サブプライム問題の影響で株価もさえない。

 企業の業績も先行きは下降する見通しだし、街では相変わらず、客待ちタクシーの行列だ。02年1月から景気拡大は続き、戦後最長の好景気だったはずだ。確かに一部の大企業は好業績だったが、苦戦していた中小企業は多い。結局、好景気の実感は一部の人たちが感じただけだ。

 こうした状況では金融を緩和し、収入が増えても消費が増えて景気を押し上げることなどありえない。米国では401k年金がほころび、我が国でも年金制度は破綻(はたん)状態だ。先行きへの不安が個人消費の足を引っ張っているのに、米国でも日本でも、内需拡大は望むべくもない。

 振り返れば、50年代は貧しいなかでも戦後復興を夢見た。高度成長期の60年代の所得倍増計画、オイルショックに見舞われた70年代の技術立国。80年代の輸出大国、そして資産バブルと崩壊。大小の波はあったが、どの時代にも共通していたのは、明日への夢と希望の存在だった。

 次世代に残すべき国家の姿に道筋をつける具体的な政策を明示することが、経済の活性化の原動力だ。国民が国家の未来に夢を託さなくては、真に活力ある社会は実現できない。(樹)

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