内閣府は30日、原油・資源価格などの高騰に伴い、海外との取引条件「交易条件」が悪化しているため、07年に日本から海外に流出した実質所得は1965億ドル(約20兆6000億円)にのぼると発表した。流出額はIMF(国際通貨基金)加盟主要国で最大。海外への所得流出で、国内に残って設備投資や個人消費のもとになる国内総所得の伸びが抑制され、景気の下押し要因となっている。
流出額の第2位以下は▽韓国1156億ドル▽米国437億ドル▽シンガポール417億ドル。逆に産油国の中東には1571億ドルが流入した。所得流出額の国内総生産(GDP)比では、日本は1.1%で、シンガポール(6.5%)や韓国(4.0%)よりも低いが、経済規模が大きいため、流出額ではトップとなる。
日本などアジアの工業国は、海外から資源を輸入し、製品を輸出する「輸出型」の産業構造のため、交易条件の悪化の影響が大きい。輸入価格が上昇する一方、国際的な競争激化などで輸出価格が上がらず、条件悪化に拍車をかけた。【尾村洋介】
毎日新聞 2008年6月30日 22時57分