兵庫県加古川市の美容外科クリニックで豊胸手術を受けた女性が手術後に死亡したのは抗生物質の再投与でショックを起こしたためだなどとして、遺族がクリニックを経営する医療法人社団サカネ会(理事長・阪根修医師)と阪根医師に約7700万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、神戸地裁姫路支部であった。田中澄夫裁判長は、再投与と死亡には相当の因果関係があるとして、執刀した阪根医師の過失を認め、約7600万円の支払いを命じた。
判決によると、30代だった女性は04年7月14日、豊胸手術中と約7時間後の2回、抗生物質の点滴を受けた。2回目の後、女性は呼吸困難を訴え、翌15日、救急搬送先の病院で急性心不全により死亡した。
田中裁判長は、抗生物質を再投与される前から女性に低血圧などの症状が見られ、薬によるショック状態かこれに準ずる状態に陥っていたと判断。阪根医師は慎重に対処すべきだったのに再投与し、女性は薬によるアレルギー反応「アナフィラキシーショック」を起こしたとした。
同クリニックは「コメントは代理人の弁護士に任せている」としている。(玉澤綾子)