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NOTE.  

DATE.  2008 . 6 . 30

あの山寺の坊さんからの贈りもの

 今年もきょうで前半の終わりなので、いつものあの山寺の和尚さんから郵送されてきている文言の一部をご紹介しておきます。今年の1月からこの6月まで、月替わりで山門の伝導掲示板に記されていたもので、今もこうして半年ごとにわたしのところへも届けられてきます。お互いにひとつでも心に響くものがあれば幸いなり、ということですか。

 〇1月 私たちが拝む前に、仏さまが私たちを拝んでくださっている。そう思えばこそ、私たちの拝む心もより一層深くなるのではないでしょうか。

 〇2月 「あなたが悪い」と指さす下の、ホラ、三本の指は自分に向いている。

 〇3月 西洋人は頂点を目指しますが、私たちは自我を捨てることを理想とします。―映画『セブンイヤーズ・イン・チベット』に登場するチベット婦人の言葉から―

 〇4月 「恥じる自分」だけは、なんとか守っていきたいと思っている。―色川武大(いろかわ・たけひろ)作『永日』より―

 〇5月 おてんとうさまももちろんだが、おふくろがいつもぼくを見つめて守ってくれている。だからぼくは、陰でこそこそと悪いことはできないんだ。―400勝投手・金田正一―

 子どもの日と、母の日のある5月に寄せて、金田正一さんの現役の頃の雑誌対談のなかからの引用です。

 昭和40年代の中盤、八百長ゲームの黒い霧事件があった直後で、金田さんは対談相手に「ぼくがそんな話に無関心でいることができたのはおっ母さんのお陰だ。ぼくのおふくろはまったく学問がなくて、自分の名前さえろくに書けなかった。でも、おふくろは“わたしはいつもおてんとうさまに見ていただいている”と信じ切っていて、ぼくにもいつもおてんとうさまが見ておいでなさるよと口喧しく教えてくれた。そのお陰で…」とここで金田さんは突然目に涙を浮かべ、声をふるわせて「おてんとうさまももちろんだが…」とこう言ったのです。

 私たちの母の時代には、どこにでもこういう母親がたくさんいました。みなさん、「おてんとうさま」を知っていますか。

 〇6月 私たちには花ひとつ、種ひとつ創造できないことを思う時、もう少し謙虚な心に還って自然の語る言葉に耳を傾ける必要がありはしないか。―白州まさ子著『かくれ里』より―

 この坊さんは短気だけど、正直で大変正義感の強い、確かわたしより少し年上の66歳の方です。


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