渡邉恒雄氏の近刊書。司法命令を受け入れない読売の方針と、同書のタイトルが脳裏で重なるのは筆者だけだろうか。
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新聞販売店の改廃事件で、新聞の供給を再開するよう命じた裁判所の仮処分決定を読売新聞西部本社が無視したことに対し、福岡地裁久留米支部は6月24日、読売が仮処分命令を履行するまで、1日につき5万円の制裁金を課す判決を下した。かつて「2ちゃんねる」西村博之氏に1日88万円の制裁金が課されていると批判的に報じた読売新聞だが、自らに課された制裁金については一切、報道していない。
【Digest】
◇仮処分命令踏み倒しの経緯
◇虚偽報告という使い古された論法
◇見せしめの改廃か?
◇「押し紙」によるABC部数のかさ上げ
◇『君命も受けざる所あり』
◇裁判所の決定が店主らに及ぼす影響
司法による決定を踏みにじる読売新聞西部本社に対して、裁判所が厳しい審判を下した。1日につき5万円の支払い命令。仮処分命令に従わない代償である。
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1日に5万円の支払いを命じる福岡地裁久留米支部の文書 |
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この措置は、読売が販売店に対して新聞供給を再開する日まで続く。いわば5万円は、司法命令を踏み倒していることに対する「罰金」、「制裁金」のようなものだ(公式には、間接強制金と言う)。押し紙率50%の販売店も珍しくないなか、月およそ150万円が補償される決定が下されたことで、今後、新聞社の横暴に対し、司法による救済を訴える販売店が続出する可能性が高い。
制裁金については、下記、読売新聞自身による記事に詳しい。
「2ちゃんねる管理者、敗訴43件も制裁金4億円不払い」
この記事によれば、
「西村氏に間接強制が適用されたケースは確認できただけで5件。現在、1日約88万円の支払い義務が発生しており、3月1日現在の累計は4億3400万円に膨らんでいる。読売新聞は西村氏に対し2月下旬以降、電子メールで取材を申し込んでいるが、返答がない」
と、批判的な論調。
だが読売新聞自身も間接強制が適用され、「制裁金」が課されているが、自らの件については一切報道しておらず、制裁金を支払うつもりがあるのかについても、こちらの取材に一切答えないため、不明である。
◇仮処分命令踏み倒しの経緯
発端は今年の3月1日までさかのぼる。すでにMNJでも報じたように、この日、読売新聞社の江崎徹志法務室長らがYC久留米文化センター前(福岡県久留米市)へ押しかけてきた。そして事務的な口調で、
「本日をもって商契約の解除を通知します。今から文書を読み上げます」
と、前置きして改廃通告を読み上げた。これを機に新聞の供給をストップしたのである。一方的な改廃通告の後、翌日に折り込む予定になっていた折込チラシを、別の読売関係者が店舗から持ち去る作業を行った。
その結果、YC久留米文化センター前は販売店としての機能を失ったのである。28年のあいだ続いてきたYCは、あっけなく巨人の足に踏みつぶされた。
このような仕打ちを受ける正当な理由は思い当たらないので、店主の平山春雄さんは、福岡地裁久留米支部に地位を保全すべく仮処分命令を申請した。裁判所は2回の審尋を開いて読売と平山さんの主張を聴取した。
そして5月9日に読売に対して新聞の供給を再開するように仮処分命令を下した。3月1日に江崎法務室長らが我田引水の論理で一方的に行った改廃を、無効と判断したのである。
平山氏を支える弁護団(江上武幸弁護士ら8名)は、読売に対する仮処分命令が下ると、その日のうちに読売に対して新聞の供給を再開する日を問い合わせた。
これに対して江崎法務室長は、2つの方針を通知してきた。裁判所の決定に対して異議申立をおこなう事と、新聞の供給は再開しないという事であった。この時点で、読売が仮処分命令を踏み倒すことが明らかになったのだ.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
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読売が営業に使ったチラシ。ジャーナリズム企業の営業活動としては疑問が多い。
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平山さんの弁護団が提出した間接強制の申立
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