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作業部会設置、日本側は評価 IWC総会
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【サンティアゴ=松尾理也】チリのサンティアゴで開かれている第60回国際捕鯨委員会(IWC)総会は24日、各国間の対立が激しく個別には歩み寄りが期待できない重要事項を、包括的かつ少人数で議論するための作業部会設置で合意した。この結果、日本が強く求めながらこれまで承認される見込みはほぼゼロだった沿岸捕鯨の再開などが作業部会での議題に上ることになり、日本代表団は「IWC正常化への第一歩」と前向きに評価している。
近年のIWCは捕鯨支持国と反捕鯨国との勢力がほぼ拮抗し、総会で4分の3の賛成が必要な重要事項については事実上、なにも決められない機能不全の状態が続いている。
今回設置が決まった作業部会は、こうした現状を打破するため、24カ国に参加国を絞り込み、効率的な議論の実現を目指す。同時に、個別に採決していたのではいつまでたっても成立に必要な4分の3の多数が得られない問題を1つの包括的な「パッケージ」(包括合意案)にまとめ上げ、その後の交渉に妥協の余地を生み出すことをねらう。
今後作業部会は、この包括合意案の策定に向けて協議を始めるが、協議事項の中にはこれまで日本が強く主張しながらも進展がみられなかった「小規模な沿岸捕鯨の再開」も含まれており、日本側にとってはとりあえず一歩前進といえる形となった。
日本代表団は「捕鯨支持国と反捕鯨国とが、立場は違えど同じ目標に向かって手を握ったのは初めて」と、今回の作業部会設置がIWCの機能不全を正すきっかけになると期待。「今後、“パッケージ”の中身がどう策定されていくかは予断を許さないが、現時点では少なくとも、IWC正常化に向けての重要な第一歩だ」としている。