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【中部国際空港】

中部空港「2本目」へ逆風 ビジネス苦戦「集約化」響く

2008年6月28日

 オーストラリアのカンタス航空傘下にあるジェットスター航空が中部国際空港−ケアンズ便(一部はシドニー便)を12月で廃止すると発表したのに続き、米ユナイテッド航空が中部空港−サンフランシスコ便の廃止を決めた。地元の自治体や経済界は中部空港に第2滑走路を建設するよう求めているが、燃料高騰で国際線の減便や廃止が相次げば、実現に黄信号がともりかねない。

 「エコノミークラスは満席でも、ビジネスクラスの搭乗率が半分の時もあった」

 ユナイテッド航空の担当者は、サンフランシスコと日本を結ぶ旅客便のうち、中部発着便を廃止して成田空港と関西空港の発着便を存続させる理由をこう説明する。

 中部−サンフランシスコ便の搭乗率は80%程度で、成田、関空の発着便と「ほぼ同じ」。ただ中部発着便は成田、関空と比べ、観光目的でエコノミークラスを利用する日本人が多く、料金が高いビジネスクラスに座る海外のビジネスマンは少ないのが実態という。航空会社にとっては利益が出にくい構造といえ、中部撤退に直結する結果となった。

 航空各社は燃料高の中で、コストを削減するため、国際便が発着する空港の「集約化」を進めている。ユナイテッド航空の場合、現在、成田から1日11便を運航。一方の中部は1便だ。発着便数が多い方が、機体整備などを効率的に行うことができる。こうした側面からも、中部は成田に比べ、航空各社の「リストラ」対象になりやすいといえる。

 2本目の滑走路の建設を目指す中部空港は、離着陸の回数を増やして「実績」を上げる必要があるだけに、燃料高に伴う航空各社の減便や運休が強い逆風となるのは確実。

 来月21日からは、中国・四川大地震などに伴うダイヤの見直しで香港エクスプレスが中部−香港便を週6便から4便に減便することも決定。当面、中部空港にとって試練の時期が続きそうだ。

 (池井戸聡)

 

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