保険金の不払い問題で、第一生命保険が、一部の契約を不払い調査の対象から外していたことがわかった。第一は再調査する方針で、対象は数万件にのぼる見通し。「最終調査結果」として昨秋、約7万件、189億円の不払いを金融庁に報告していたが、件数、金額とも膨らみそうだ。
金融庁は不払い問題で生保各社への処分を検討しており、今回の調査漏れが判断に影響を与える可能性もある。
調査していなかったのは「通院給付金」契約の一部。第一では、入院の前後に通院した場合、1日あたり3千円程度を支払う「通院給付金」の契約がある。しかし通院も支払い対象となることを知らない契約者が多く、不払いとなるケースが相次いでいた。
第一は過去5年分の不払い調査の際、入院前の通院給付金を請求したことのある契約者は、対象から外していた。「一度でも請求していれば契約者が請求範囲を理解しているので漏れはない」と解釈したという。しかし複数回入院した時に通院分の一部の請求を忘れていたことも考えられる。対象外とした件数は「公表できない」という。
通院給付金で調査した約14万件についても、支払い漏れを自分で判断して請求するよう呼びかけただけだった。診断書から支払い漏れを把握できても、支払いに向けた手続きはとっていなかった。
社内関係者は「件数を少なく見せるため、あえて十分な調査や支払いの努力を怠った」と証言している。
金融庁は調査の際には支払い漏れの範囲を幅広くとらえるよう求めていた。
第一は「契約者には何度も請求を呼びかけており、初診日の請求漏れも気づくはずだと思っていた。調査や支払い努力は万全を尽くしてきた。今後も契約者への注意喚起を強めたい」としている。