毎日新聞社(東京都千代田区)は27日夕に記者会見し、斎藤明社長(70)が1月末、都内の自宅近くで車に押し込められ、約2時間にわたって監禁される事件があった、と発表した。社長にけがはなかった。容疑者として同社関連会社と取引のあった男ら6人が警視庁に逮捕監禁容疑で今月7〜8日に逮捕され、27日に逮捕監禁と強要未遂の罪で起訴された。トップが巻き込まれた事件を約1カ月間公表しなかったことについて、同社は「背後関係が不明で、再度被害に遭う危険性があった」と説明している。
毎日新聞の会見は午後4時に始まり、警視庁はその10分後に会見した。
主犯格とみられるのは名古屋市にあるコーヒー豆販売「フキー」社長の藤田幸弘容疑者(65)=名古屋市千種区萱場2丁目。捜査1課の調べに「社長が辞めれば取引を再開できると思った」と容疑を認めているという。
調べや毎日新聞によると、藤田容疑者は部下の社員や知人の計5人と共謀して1月31日午前9時ごろ、東京・南青山にある斎藤社長の自宅近くの路上で、散歩していた社長の顔に布をかぶせてワンボックス車に押し込んだ。
港区内を走りながら藤田容疑者は車内で、毎日新聞の関連会社「国際観光ホテルナゴヤキャッスル」が経営する名古屋市内のホテルにコーヒー豆を納める取引の再開を要求した疑い。
車内で斎藤社長は、両手足を粘着テープで縛られて衣服を脱がされ、その姿を撮影された。藤田容疑者から「世間に写真をばらまかれたくなかったら社長を辞任しなさい」と求められたという。午前11時すぎに自宅近くで解放された。社長が同日午後、警視庁に届けた。
斎藤社長は「卑劣で許せない犯行であり、今後の公判で真相が解明され、適切な司法判断が下されることを心より望んでおります」とのコメントを出した。
斎藤社長は59年入社。政治部長や論説委員長、主筆兼東京本社編集局長、専務を経て98年6月から社長。
(02/28 00:03)
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