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【コラム】無差別殺傷事件後の秋葉原(下)

◆警察官 

 午後3時、秋葉原の通りは警察官の姿が目立っていた。午前中には警察官の姿は時折見かける程度だったが、午後になって人通りが多くなるにつれ、警察官の数が一挙に増えた。事件が起こった交差点を中心に、建物の裏の細い路地にまで警察官が現れた。道を歩いていて、警察官と一度もすれ違わない時間がほとんどないと言っても過言ではないほどだった。秋葉原の警察官は、二人で一組になって路上をパトロールしていた。みな、手には鉄製の警棒を持っていた。

 大通りでは、検察官や警察官たちが、8日の事件の目撃者を探していた。人々が信号待ちをしていた横断歩道付近にいた通行人たちに、「先週の殺人事件について、何かご存じないですか」と尋ねていた。事件が起こった交差点にいた警察官たちは、30分の間に、3人の目撃者から証言を得ることができた。警視庁のある警察官は、「観光客に見える人でも、先週ここへ来ていた可能性はあるため、一人一人尋ねている」と話した。

◆変わらない通り 

 だが、それでも秋葉原は以前と変わらなかった。車道を埋め尽くしていた人波が歩道に移ったことを除けば、特に変わったことはないように見えた。献花台に立ち寄った人たちも、黙とうをした後、静かに商店街へ消えていった。献花台には花のほかにも、マンガ本やDVDなどが供えられていた。「オタク」(主にアニメ、ゲームのサブカルチャーに熱狂する人たち)の聖地と呼ばれる秋葉原らしい光景だった。

 献花台のすぐ脇にある家電専門店も人々であふれ返っていた。駅前ではメイド姿の女性たちが、「メイドカフェ」のチラシを配っていた。また、ゲームの画面を映し出している大型スクリーンの前も人々で埋め尽くされていた。

 アニメショップの前で会った20代の男性は「事件で恐怖を抱いて来なくなった人たちも、1カ月も経たないうちにまた来るようになる。秋葉原に来る人たちは、ほかに行く所がない」と語った。加藤容疑者が同僚たちに言ったという、「(ゲームやアニメの)キャラクターは人を裏切ることをしない」という言葉が浮かぶ。記者は二日後の今月17日にも、再び秋葉原を訪れた。大型家電専門店の前にあった献花台は、道路の反対側の、工事現場の前の目立たない場所に移されていた。そこから道路を挟んだ、献花台がなくなった店の前に、陳列されている商品が見えた。

東京=イ・インムク記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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