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韓銀の金保有高、突然30%も増えたワケ

 映画を見ると、中央銀行の金庫におびただしい量の金塊が保管されているのをよく目にします。映画『ダイ・ハード3』の中で、ニューヨーク連邦準備銀行の地下金庫からトラック数十台分の金塊を盗み出すシーンは、あまりにも有名です。

 それでは、韓国の中央銀行である韓国銀行の地下金庫にも、多くの金塊が眠っているのでしょうか。答えは「ノー」です。韓銀は14.3トンの金を保有していますが、この金は韓国ではなく、英国ロンドンにあるイングランド銀行の地下金庫に保管されています。

 韓国だけではなく、世界のほとんどの中央銀行は、金をニューヨーク連邦準備銀行やロンドンのイングランド銀行に保管しています。地下の金庫に「眠らせておく」よりは、むしろ金融の中心街に送って、貸し出しなどに活用するためです。さらに韓国銀行はイングランド銀行に預けた金を香港上海匯豊銀行(HSBC)など踏み倒される心配の少ない屈指の金融機関にも預け、金塊で利子を受け取っています。こうして、これまで受け取ってきた金塊は、計1.3トンにも上ります。今年上半期にも約100万ドル(約1億700万円)相当の金塊を利子で受け取る予定となっています。

 韓銀は、現在保有している金の価値を約7500万ドル(約80億2500万円)と評価し、これを外貨準備高に加えて計算しています。しかし、これはあくまでも帳簿上の価値に過ぎず、実際には3億ドル(約321億円)を超えているといわれています。金の価値が1998年以降、1オンス当たり200ドル(約2万1400円)台から800ドル(約8万5600円)台へと、10年で約4倍に膨れ上がったことで、財テクならぬ「金テク」に成功したのです。

 しかし、韓銀の金の保有高は、ほかの中央銀行に比べると少ない方です。米国はおよそ8133トン、ドイツは3422トン、日本は765トン、中国も600トンを保有しています。韓国の中央銀行が保有している金塊の量が少ないのは、世界経済が金本位体制で動き始めた1960年代に、韓国がとても貧しかったからです。90年代まで、韓銀の金の保有高はわずか10トン程度に過ぎませんでした。

 ところがその後、金の保有高が突然30%も増える事態が発生しました。まさにアジア通貨危機の際の「金集め運動」がそれです。これで韓銀は約223トンにも上る金塊を集めることに成功したのです。韓銀はこれを22億ドル(約2354億円)で売却し、このうち3トンを再び買い戻しました。国民の自主的な参加により、中央銀行の保有高の実に22倍にも上る金を集め上げたのです。このように国を挙げての運動を行うことのできる国が、韓国以外に果たしてこの世に存在するでしょうか。このように韓国の外貨準備高は、国民の愛国心の塊なのです。

チョ・ウィジュン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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