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社説2 G8外相会合を覆った暗雲(6/29)

 経済不安、食料危機、気候温暖化……。主要国首脳会議(洞爺湖サミット)の議題は世界を覆う暗雲ばかりだ。先週、京都で開いたG8外相会合で話し合われたのも世界を不安にさせる問題だった。G8も国連もそれを解決する能力がない。その現実が不安を増幅する。

 外相会合が開かれたころ、日本国内で関心を集めたのは北朝鮮の核申告であり、見返りとしての米政府のテロ支援国家の指定解除をめぐる議会通告だった。北朝鮮の核、拉致、ミサイル問題は日本の安全を脅かすのだからそれは当然だが、地球儀を眺めれば、問題がそれだけではないのがわかる。

 G8外相会合の議長声明を読み返してみよう。中東和平、アフガニスタン、イラン、イラク、パキスタン、北朝鮮、ミャンマー、スーダン、ナゴルノ・カラバフと地域問題が列挙されている。大統領選挙の不正をめぐって混乱するジンバブエに関しては特別声明が発表された。

 スーダン、ナゴルノ・カラバフ、ジンバブエは、日本での関心は高くないが、G8と呼ばれるシステム内部では関心事である。それを改めて示したのが、外相会合のひとつの意味だったろう。G8はそれに対して何ができたのか。議論し、記録し、文書にまとめたのは事実だが、それにとどまる。

 主要国が任意に集まったG8だけではない。国連もまたこれらの問題を解決する能力の限界を見せつけてきた。例えばスーダンのダルフールで繰り返されている悲惨な現実に対して、国連安保理は平和維持活動(PKO)を展開する決議をしたが、状況は改善していない。議長声明は現状に対するG8のいらだちが行間ににじむ。

 世界の各地を覆う暗雲を吹き飛ばすために、日本は何をしてきたのか。日本のPKO派遣人員は36人である。世界で82位だ。日本国憲法前文には「平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたい」とある。

 世界で起きている問題の解決に日本が何をできるのか。サミットを控え、考える時だろう。

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