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NIKKEI NET

社説1 社長再任が問われた株主総会(6/29)

 社長は続投できるのか。今年の株主総会の特徴は、取締役選任というテーマに注目が集まったことだ。アデランスホールディングスでは社長以下7人の取締役再任案が否決された。日本興亜損害保険やJパワー(電源開発)でも、業績悪化などを理由に筆頭株主の投資ファンドが社長再任に反対した。再任反対票はそれぞれ3割前後に達したとみられ、無視できない声である。

 取締役選任は株主総会で最も重要な議案だ。かつては“無風当選”だった。今は株主を納得させる業績と経営計画を示せなければ取締役の地位も安泰ではない。総会が機能するようになったのは良いことだ。

 緊張感をもたらした最大の要因は、株主の構成と意識の変化だ。上場企業に対する外国人投資家の保有比率は28%弱と、全体の4分の1を上回る。業績不振の企業は、しがらみのないこれらの投資家から、厳しく経営責任を問われている。

 18%強を占める個人投資家の意識も変わった。外国勢とともに収益の株主還元や経営改革を求めている。Jパワーの株主総会でも「配当をもっと増やすべきだ」「株式の持ち合いはやめてほしい」といった注文が相次いだ。経営陣も株主の質問に丁寧に答えざるを得なくなった。

 一考を要する問題がある。株主総会と取締役会の関係だ。総会から取締役会に権限委譲が進む一方、取締役会の構成にあまり変化がみられない点だ。法律改正で、定款を変えれば取締役会だけで自社株買いや配当を決められるようになった。その分、総会の議案は減る。今年の東芝の会社提案は取締役選任だけだった。

 形のうえでは日本も、取締役会の役割が大きい米国型の企業経営に近づいた。だが米企業の取締役会では社外取締役が過半数を占め、最高経営責任者(CEO)を監督している。業績が悪化すれば、社外取締役はCEOを解任する。その例には事欠かない。日本企業には社長の首に鈴を付けられる社外取締役が、果たしてどれだけいるだろうか。

 総会の開催時期の集中も依然問題だ。今年は6月27日に、東証上場の3月期決算企業の48%が総会を開いた。23日からの1週間で見れば、集中度は87%に達する。かつては総会屋の攻勢を避ける狙いがあったが、今は機関投資家から苦情が上がっている。多くの企業から受け取る大量の書類や議案を十分吟味する時間を確保できないというのだ。必要なら法制度も見直し、例えば7月も含めて開催日を分散させることなどを検討すべきだろう。

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