倉敷チボリ公園を運営する第三セクター「チボリ・ジャパン」(チ社)の定時株主総会が30日に開かれる。20日の取締役会で、チボリの名称が使えなくなる来年1月以降の最終的な経営方針を示す予定だったが、結論に至らなかった。経営低迷に加えて将来像が不透明な中での開催となり、経営陣は厳しい総会運営を迫られそうだ。【山崎明子、佐藤慶】
総会では任期を迎える取締役選任案に加え、07年度の決算報告などが予定されている。同年度の入園者数は過去最低の約75万2500人。県は来年1月以降の地代負担打ち切りを表明しており、その後の公園のあり方も決まらない以上、株主からの批判は避けられない。
坂口正行社長は、前回の取締役会で、現状の3分の1を市民公園として残し、残りをアウトレットモールをベースにした商業施設とする民営化案を提案した。公園部分の地代を2億円弱と計算し、1人あたり500円程度の入園料などでまかない、残りは県や倉敷市の支援を仰ぐ。商業施設は全国8カ所でアウトレットモール展開の実績を持つ不動産大手「三井不動産」(東京都)の開発に委ねる。同社は天満屋(岡山市)と広島市内で18年間、商業施設「アルパーク天満屋」を展開してきた経緯もあり、関係者の理解を得やすいとの狙いもある。広島から兵庫県姫路市までと山陰、四国を商圏として、年間500万人の集客を見込む。
しかし、坂口案の実現にはクリアすべきハードルも多い。現在、土地は県がクラボウから賃借し、チ社に転貸しているが、石井正弘知事は「商業施設への転貸は困難」としているため、チ社、三井不動産などが直接クラボウから土地を借りる必要がある。しかし、クラボウは今年2月、チ社に直接土地は貸さない▽チ社が中核企業を見つけた場合も同様――などと表明している。公園の将来像は当時とは異なるが、新しい貸借関係が成立するかどうかは不透明だ。
さらに、倉敷市は「市の支援は県の支援が前提」としているが、県は地代負担打ち切りを明言している上に、財政危機の非常事態にある。複数の県幹部は「公的施設や事業の見直しを行っている最中に、市民公園に財政支援をするのは理解が得られない」と見るなど見通しは暗い。倉敷市議会でも「県の意思で早期に土地返還を」の声もあり、足並みは必ずしも一致していない。
三井不動産は「中国地方はアウトレットモールがないエリアと認識している。提案を検討していることは事実だが、具体的な内容は控える」という。
坂口社長は土地返還や会社の解散縮小も視野に、県、市、クラボウ、チ社による5者が協議する必要性を強調している。総会では株主から経営責任を追及される可能性も高いだけに、経営陣の丁寧な説明が求められる。
6月28日朝刊
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