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【社会】

生活保護費不正受給 深谷の元組員夫婦逮捕

2008年6月27日 夕刊

 埼玉県深谷市の暴力団組員夫婦が生活保護費を不正受給していたとされる問題で、県警捜査四課と深谷署は二十七日、生活保護法違反容疑で、韓国籍の同市上野台、指定暴力団稲川会系元組員崔鳳海容疑者(60)と妻の育代容疑者(44)を逮捕した。崔容疑者は生活保護受給開始から約二カ月後に交通事故保険金約二千二百万円を受けており、県警は生活保護申請が認められた経緯や余罪を調べる。

 調べでは、二人は昨年十月下旬、実際には治療を受けていない群馬県みなかみ町の接骨院での計十回の施術料七万二千円や通院のタクシー代や電車代、バス代名目で、深谷市から一カ月分の医療扶助費十四万四千円を不正受給した疑い。

 崔容疑者は「間違いない」と容疑を認めているが、育代容疑者は「夫に頼まれて福祉事務所に行った」と犯意を否認しているという。

 県警によると、崔容疑者は二〇〇二年五月に埼玉県熊谷市で交通事故に遭って体に障害を負い、〇三年三月に保険金二千二百万円を受け取っていた。だが二人は同年一月に深谷市に生活保護を申請し、総額約千九百万円の生活保護費を受給していた。

 崔容疑者は医療扶助費の申請の際、同年五月ごろに訪れたみなかみ町の接骨院の印鑑などを偽造したり深谷市のタクシー会社の白紙領収書に自ら金額を書き込んでいたらしい。

 施術料は本来、治療をした接骨院からの請求を受け、市町村が接骨院に支払う仕組みだが、深谷市は「立て替え払いをした」と主張する崔容疑者の自宅に職員が持参する精算方法を取っていた。昨年十月の県の監査で不審点が見つかり市は今年二月に二人への支給を停止して深谷署に告発。四月に時効(五年)にかからない約千八百万円の返還を請求した。問題発覚後の二月、崔容疑者は組から破門された。

 埼玉県によると、市は県に「生活保護の申請時に交通保険金の確認はしなかった」と説明している。

 

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