私がプチ保守を批判する理由

私の住んでいるのは和歌山県のド田舎であるとは、皆さんご存知かと思いますが、そういう「地方」に行けば行くほど、保守的になるという傾向があるそうです。
日本史で言えば、奥州列藩同盟が挙げられますし、近代世界史で言えば、フランスのヴァンデ戦争もそうですね。
さらに、和歌山県と言えば皇室にゆかりのある場所が多数あり、熊野古道の絡みもあり、そういう話は子供の頃からよく聞き、私の中に皇室というものへの素直な敬愛の情が生まれるのは、ある種必然なのでしょう。
そのため、皇室が、陛下が無意味な非難に……要するに罵倒されたときは、家族の悪口を言われたように心が傷つきますし、度を越すようなものでしたら怒ります。
私にとって、会ったこともない今上陛下は、さながら父のような存在だといえます。
この瑞穂の国の象徴であらせられ、この国を知らすのが、陛下で、その威光を持って我々は暮らしているんだ、という風に考えています。
(だいたい、実家は神道の流れをくむ天理教でしたし)

……と、書くと、ガチ右翼なんじゃないかと思う今日この頃ですが、そんな私でも「プチ保守」とか「ネットウヨク」相手となると、批判します。

本来ならば、右翼・左翼どちらもこの国を良くしたいけれどもその手段が違うというものだったはずです。
目的は同じなので、他の国だと与野党で外交政策が一致したりするわけですね。

ですが、日本において「右翼だ左翼だ」というのは、「目的が一致して手段が違う」のではなく、そもそも目的から違います。
……というよりも、「右翼左翼」と「ウヨク・サヨク」の目的が違うというほうが正しいかもしれません。
前者はすでに述べたとおり「この国をよりよい方向に」という目的があります。そのために、大きな政府にする、小さな政府にする、保護貿易にする、自由競争にする...etcと手段によって論戦があります。
しかし、後者は違います。彼らは、自己満足が目的で、右翼・左翼の立場はその「手段」に成り下がっているとしか、私には思えません。

例えば、サヨクです。特に朝日新聞を筆頭に、無防備都市宣言を主張する団体や、日本の地理を無視した非武装中立思想団体などいろいろあります。
これらは、自分たちの理想とするユートピアのために、そのユーとビアが砂上の楼閣であることは明らかであるのに、結局は自分が「人にいい事をした」と思いたいだけで、他人に無理な出血を強います。
だから「売国的」と呼ばれるわけですよ。……こんな言い方するとプチ保守チックになるので嫌ですが。

次は、プチ保守です。他では「ネットウヨク」と呼ばれますが、彼らは「サヨク」と逆になるだけで、やってることは同じです。
彼らのものさしで測った「売国奴」を消せばそれでいいという思考、劣等民族とみなした属性を持つ人は消えればいいという傲慢な思考。そして、自国を斜め上に誇りに思う、国粋主義的思想。

……そして、これが何より許せないのですが、皇室の政治利用。
こう書くと、誤解生むかも知れませんがね……政治利用というのは、「身勝手な自分たちの言い分に皇室を利用する」というニュアンスにとっていただければ幸いです。

サヨクが無闇に「天皇制反対」と叫ぶのにも、こめかみに青筋が立ちますが、プチ保守の自己満足のために陛下が利用されることがあるのも、同じくらい腹立たしいです。
なぜ、素直に敬うということが、どうして出来ないのだろうかと、あんなにひねくれているのかと考えたことがあるのですが、やはりそのはじめの段階で違うのですから、私が彼らを理解できるわけがありませんね。
彼らにとっては、まず「結論」ありきだということです。
「無防備都市宣言をする」ことが結論で、「国民の保護」は全く考えていない。
「中国人・韓国人は絶対悪」が結論で、それを導くための根拠はすべて牽強付会でいい。
「人権擁護法案は悪法」が結論で、それを否定する様々な証拠はすべて「推進派の陰謀」。
馬鹿馬鹿しくてやってられません。

何にせよ、サヨクもプチ保守も、自浄作用のなくなったカルトと化してきている、と私は見ています。
安きに流れるのは簡単ですが、私たちは人間です。
自我を持ち、自ら考えることを放棄するならば、それはロボットとか畜生と呼ばれても仕方ないでしょう……。
……いえ、人工知能を研究するつもりの私が「ロボット」というのは、ロボットに失礼ですか。

右だ、左だというくだらない議論をやめて、まずはこの国のあり方を考えるべきなのかもしれません。
そして、手段が目的化しないように、常に注意しなければなりません。出なければ、いつぞやの朝日新聞、あるいはチベットデモでの新風のように、醜態を晒すことになりかねます。

COMMENTS

No title

偽善で済むならまだいいですよ。
金のために政治思想語ってる奴らがいるとしか思えないのが腹立たしい。
金以外に新聞等顔の出るマスメディアで捏造をやる理由が
全く見当たらないのです。

正義を捨てて金のために内股膏薬なんて、
そんなに金儲けてギネスにでも載りたいんでしょうかね。
必要以上の金に人生を掛けなければいけないほども
人間は無価値でないと思うんですが。

No title

 いや、国益の追求とは、個々人の利権追求を無視して語れないでしょう。
もちろん、そこには、それなりの正義があるわけですが、
基本、国民同士の利権争いと考えるべきなのです。

 なお、ロボットなどに関しては、社会学の先生なら、大きな物語の消失後の世界の話をするんじゃないですかな。

No title

参考として、香山リカの「プチナショナリズム症候群」をお勧めします。
主張の方向性が良く似ていますので。

No title

>「右翼・左翼」と「ウヨク・サヨク」の目的が違う
>前者は「この国をよりよい方向に」という目的があり
>後者は自己満足が目的で、右翼・左翼の立場はその「手段」に成り下がっている


 「右左」という軸は付箋として、カテゴライズするための道具として有用ですから、分類をすること自体には意味があると思いますが、「自己満足を目的とするのはウヨ・サヨ」で、「国益を目的とするのが右翼・左翼」として差異化し、分類していくのは難しい作業です。

 この場合、目的は動機と直結しているように感じますが、動機を見る、というのは政治思想分類としての右左より一層難しいものです。一般的なタームで「ウヨ・サヨ」に分類された対象(言説、行動などを含め)もひょっとしたら「この国をよりよい方向に」という目的、動機をもってしているのかもしれませんし、「右翼・左翼」に分類された対象が「自己満足」や利己主義から出てきているのかもしれません。

 特に政治のプレイヤーというのは自己満足、自己利益の最大化で動くというものですし、それが民主主義ですから尚難しいように感じます。根拠や調査、統計なく溜息だけを吐き出す精神科医の本もありますし…^^;。

 私は批判的なレッテルとしての「ウヨク・サヨク」(特に「ウヨク」)に対するどうしようもない苦笑は彼らの目的や動機というよりも、プロセス、思考方法に対する違和感にあるのでは、と感じています(久間さんが以前に「合理的思考の欠如」を指摘したのと同じです)。まぁ、私も未熟な「ウヨク」なのですが。

No title

>Kh_khelseさん
まぁ、私が新風などに感じる気持ち悪さというのは、そういうところなんでしょうね……

>あ さん
その方については……個人的にどうかと思う発言も多いのですが……折を見て呼んでみようとは思います。

>何某さん
以前某所で、「同じ右翼なのに、同じ反対派なのに、どうして批判するんだ?」とか「反対運動の動きを鈍らせる工作員」とか言われましたからね、私^^;
「同じ反対派」とかいう以前に、「やり方がまずい」と言っているだけなのに、すべて同じじゃないと「売国奴」の大合唱じゃやってられませんよ、本当に。

No title

私も右寄りの人間だとは思いますが、一部のネット右翼には嫌悪感を持ってます。
恐らく久間さんも気づいていると思いますが人権擁護法案に反対してる人の中には、この法律が成立すると2ちゃんやブログで「知障氏ね」「チョン氏ね」「チャンコロ氏ね」「〜は部落出身」と書き込みづらくなるのが嫌なだけな人も多いんですよw
ただそれだけなんです。誰かを差別し続けたいだけなんです。

ウヨクは何かとすぐ戦争しろと言うが徴兵制には反対。
「自衛隊は中国を攻撃しろ!」なんて言うが自分は戦争には行きたくない。
「自衛隊がクーデーターでも起こさないかな」なんて書き込みも見たことありますけど、お前がやれよ。なんで人任せなんだよw
反日の中国、朝鮮。大東亜戦争の恨みがあるアメリカ、ロシア。捕鯨に反対のオーストラリア。イスラム教も嫌いだからイスラム諸国も。ついこの間は尖閣の問題で台湾まで…全部嫌い。なにかと断交だ戦争だと。
えっと…四面楚歌になっちゃうんですけど、どこと組むんですかと小一時間問い詰めたいわw

以前サヨクらしき方と論戦したことがありましたが、とにかく戦争は反対だと。
殺すぐらいなら殺されてもいいと。その方は女性でしたが「じゃああなたは家族が皆殺しにされても、自分が強姦されようが無抵抗なんですか?正当防衛も認めないんですか?」と聞いたら「強姦されようが殺されようが構わない。正当防衛も認めない」と。私が自分の子供のためなら命をかけて戦えると言ったら「どうぞ名誉の戦死をとげてください(^^)」とまで言われましたから。話しても無駄ですね。サヨクは一種の宗教なんです。

ウヨクもサヨクも獅子身中の虫です。

No title

読んでてふと思ったのですが、左翼、右翼といった、
広い意味での政治的活動家を、
その目的意識で分割して議論をなさっているように思います。
Aをプチ右翼やサヨク、
Bを左翼、右翼ということにしましょう。
また、どちらにも該当しない層をCとでも置いておきましょう。

そして、いくつかの行動を挙げ、非常識な行動をとっている層があり、
それを一括してA’と書くことにします。

久間さんは

A=A’

を仮定していらっしゃるように思いますが、この根拠は何ですか?
私は、A’という層がAに一致するという論理的根拠はないと思います。

つまり、
A'かつBや、A'かつCといった層がいるんじゃないでしょうか?

こういった層は、先日から議論している”衆愚政治家”として
議論するに値しないということなのでしょうか。
つまり、衆愚政治家という層をDとおくと、
Dという層とAという層の和集合はA'という集合を
含んでいるということなのでしょうか。


このあたりの詳細な論拠や議論をふっ飛ばしていらっしゃるので、
久間さんと異なる考えの人間にとっては、論理の飛躍を感じます。
正味、3*2*2=12通りの層が考えられます。
この12の層のうち、
存在する層と、存在しない(もしくは少ないと思われる)層を
指定していただきたいと思います。

# ご存じのとおり、
# このような集合が存在する、存在しないということを指定することと、
# 論理的命題の是非は一致します。
# 多少普通の方法とは異なりますが、
# 明快さのため、よろしくお願いします。
# なお、久間さんがいわゆる古典論理を前提にしておらず、
# 集合論との対応がつかないというならお申し出ください。

No title

久間知毅さんこんばんは

人権擁護法反対運動がプロ市民化しました

http://sports11.2ch.net/test/read.cgi/offmatrix/1213263930/435
>435 :エージェント・774 :2008/06/26(木) 18:13:48 ID:MHznDD3T
>だからさ反対理由を明確にせずに、反対運動のことだけ書き込んでればいいんだよ。
>どこでビラ配ったとかどこにメール出したとか、そういうことだけ書き込んで
>運動そのものを目的化すれば、誰かに反対運動の嘘を突っ込まれることもない。
>反対理由を誰かに聞かれても出来るだけ曖昧に、とにかく曖昧な反対理由を答えるべき
>明確に答えると全部ウソになっちゃうから、これは非常に大切なことだよ

なんのための反対運動かわかりません

No title

>装甲擲弾兵さん
戦争は外交の一手段であって、それ以上でもそれ以下でもない。とか、戦争は政治の延長ということをわかってないからだと思いますよ……
戦争のために政治があるんじゃなくて、政治のために戦争があるはずなんですよね。あくまで選択肢の一つで、「それじゃないといけない」わけじゃないはず。
人権擁護法案の件でも……本当に頭が痛くなることが多いです。

>あ さん
右翼と書かずにカタカナで「ウヨク」または、左翼とかかずカタカナで「サヨク」と書き、その上であさんのA'を定義していますので、仮定ではなく、問題は発生しないと思います。
(なお、サヨクは小林よしのり氏の定義です。ウヨクの定義は……すみません、あらかじめ書いてませんね)
つまり、A'∩Cとか、そういうのではなく、A'です。

>名無しさん
……なんともまぁ。
自ら手段を目的化宣言ですか。確かに呆れますね、これ。
サヨクの逃げ常套句そのものじゃないですか。ミイラ取りがミイラになったいい例となりますか。

No title

おっと、問題指摘がおかしかったようですね。

A:自己満足が目的で、政治活動をしているやつら
B:「この国をよりよい方向に」という目的がある集合
C:AとBの補集合

A':サヨク、ウヨク

ですね。訂正します。

No title

>あ さん
把握しました。
まず、人間をすべてこれらに明確にカテゴライズすることは不可能ですので、命題とは言いがたく、集合に若干の漏れがあること(補集合に入ってしまうような人)は、あらかじめご了承ください。

さて、、A'はサヨク・ウヨクで、この定義は「主張の左右とわずに非常識な言動を行う(またはその主張を辱める)人」とします。
このとき、Aは自己満足(この場合、金銭目的も含めるとして)で活動していると定義した場合、政治活動をやってしまっている時点で世の中に働きかけているので、自己満足目的で、人に迷惑をかけるような活動をやってしまう場合、自然とA=A'となることは自明です。
また、A∩Bというのは、Aの時点でBとは被らないので、存在しないはずです。
(目的による定義わけで、目的が違う場合は明確に区別されます)
A'∩Cは、目的を持たず騒ぎたいだけの無関係層が考えられます。……まぁ、この人たちは無視していいでしょう。そもそも議論に参加する気さえないでしょうから。

衆愚政治を進めるような政治家というのをDとした場合、D⊂A'になりますね。民主主義の混乱の原因ですので。
ですから、そんなに層はないと思いますよ。
A’、B、C、そして、A’∩Cの4つです。ただし、このときA’∩Cはただのクレーマーとか、祭り便乗タイプなので、無視しているわけです。
よって、考えるのは3層のみになりますね。

No title

>政治活動をやってしまっている時点で世の中に働きかけているので、
>自己満足目的で、人に迷惑をかけるような活動をやってしまう場合、
>自然とA=A'となることは自明です。

この論理が不明です。

>自己満足目的で、人に迷惑をかけるような活動をやってしまう場合、

とありますが、

Aの層の中で人に迷惑をかける層がいて(その層をA_1とおく)、
その、A_1に関してしか言及できませんよ。
もちろん、自己満足行動が全て人の迷惑になる
(いわゆる、ウインウインの関係はない)
というなら分かりませんが。

さらに、A_1が迷惑をかける行動をし、
A'が迷惑をかけるということを想定なさっているのだと思います。
これは同意できます。
しかし、迷惑をかけるという共通点だけで、
A'=A_1とは言えないでしょう。

>A’、B、C、そして、A’∩Cの4つです。

いや、A=A’なら、定義から明らかに、A’∩Cは空集合でしょう。


# うーん、まぁ、日本では数理論理学 (記号論理学)を
# ちゃんと教えないですから仕方がないことなのかなぁ。

No title

>あ さん
Cは「どちらにも該当しない」ですか……すみません、見落としてました。てっきり、AとBに被ったほかの層(ベン図で表したいんですが……)かと(汗
(+連日実験室篭り+非常に眠い)

A層に政治活動をやっているという但し書きがついているので、政治活動として他人に影響を与えておいて、かつそれが自己満足による的外れなものだった場合、その時点で他人に迷惑をかけていることになり、また民主主義の観点から見て衆愚政治を推し進めることになり、A=A'になることは明らかだと思いますが?
なので、A'、B、Cの3つですね。

……というよりも、どうしてこういう話になってるんでしょう(汗
もっと単純に、「右とか左とかくだらないことを言う前に、まともに活動しようよ」という話だと思いますが。

No title

>A層に政治活動をやっているという但し書きがついているので、
>政治活動として他人に影響を与えておいて、
>かつそれが自己満足による的外れなものだった場合、

また新しい仮定が出てきましたね。
A層が自己満足で行動するというのはいいんですが、
その中で、さらに的外れな活動をする層(A_2とおく)がいて、
それについての議論にいつの間にかすり替わってますね。

>また民主主義の観点から見て衆愚政治を推し進めることになり、

つまり、A_2⊂Dということですか?
以前、A'⊂Dということを言われたのですが、
この二つからA_2=A'という結論は出ないでしょう?


ちなみに僕は、論理的に考えて久間さんの意見が理解できなかったので、
論理的にはどうなっているかをお聞きしているだけです。
執筆当時のお考えをそのまま教えていただければ、それで十分なのです。

No title

それと、

>……というよりも、どうしてこういう話になってるんでしょう(汗
>もっと単純に、「右とか左とかくだらないことを言う前に、まともに活動しようよ」と>いう話だと思いますが。

という結論は、おそらく、左も右も”衆愚的”にならず、
ちゃんと活動しろよといういみだと思います。
そういうことが言いたいということは了解しました。

ただ、そこにたどり着くまでの仮定や論拠、論理が重要だと思っていますし、
結論が耳触り良いかどうかだけが重要という立場ではありませんので。
結論に対してどうこう言うのは現時点では差し控えさせていただきます。

疑問点が明白になれば吟味して考えたいと思います。

No title

ちょいと休憩したらどうだい。

二人の間に溝があるような気がするよ。

No title

>カモさん

 久間さんは自分の議論を自明だと片づけておられますが、
論理的には全然自明ではありません。
少しでも論理学をかじった人なら分かると思います。

# 多くのことで自明であると思われるものが、
# 実は落とし穴であるというのはよくあることです。
# もっとも、何らかの巧妙な議論があるのかと期待してたのですが。
 
 おそらく、久間さんは何らかの前提を使っていて、
その結論を得たと思えます。
それを久間さんは提示しないし、僕も暗黙の了解をするつもりもない。
そこが、ずれているように思えるのではないでしょうか?

COMMENT FORM

TRACKBACK


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)