日本には分け合う精神があったはずなのに…。MLB式の均等配分を訴えるバレンタイン監督(クリックで拡大) |
日本プロ野球組織と選手会が25日、FA制度改革などについて交渉を行ったが、これにロッテ・バレンタイン監督がモノ申す! 球界改革について持論を展開した。
この日の交渉ではFA権の取得期間については国内移籍に限り8年に短縮。07年ドラフト以降に入団した大学・社会人出身選手は7年とすることなどで2年間暫定的に実施することで合意した。球界の活性化を促す決定に周辺から歓迎の声が上がっているが、バレンタイン監督は「今回は選手がどのように球団から離れるか話し合うのだろうが、離れる選手ばかりでなく、球団も選手も両方が利益を得られるよう、球界の発展につながってほしい」とブチあげた。
「それにはマイナー組織の構築や育成のための話し合いも必要。選手の引退後の福利厚生の充実などで(メジャー挑戦など)日本から離れたくないと思わせる、そんな話し合いが必要なんだ」
そう強調するバレンタイン監督が指摘するポイントは、「球界の収益をシェアする形」。いわゆる米メジャーで行っている30球団の収益をMLBで一括化し、その後に各球団へ均等に分配する方式だ。
「各球団がそれぞれやるのではなく、全球団が一致してアイデアを出して、テレビ放映権などの交渉を共同体で行う。そこからもたらされた収益を分配することだ」。メジャーでは資金など台所事情が厳しい球団でも、日本人選手をポスティングで落札するケースが多いが、これも収益の均等分配があってこそできることだからだ。
これまでの日本球界では、FA選手は巨人など資金力のあるチームに集まる傾向が強く、お金のない球団は争奪戦には参加できない。一方では選手を送り出す球団が移籍補償金をアテにするケースも多く、選手会も「球界の活性化を妨げている」と指摘している。今回の交渉でも補償金の継続が焦点の一つとなっていたが、バレンタイン監督の強調する収益分配方式を採れば、どの球団もFA争奪戦への資金とすることも可能となるワケだ。
「日本には分け合う精神があったはずなのに、なぜ球界で行われないのか不思議なところだ」。不思議な国ニッポンへ、指揮官の切り込みは辛辣だ。
ZAKZAK 2008/06/26