埼玉県深谷市の元暴力団組員が医療扶助などを不正に受給したとして逮捕された生活保護法違反事件で、元組員青山真一朗容疑者(60)が生活保護を受給中、高級車で市役所に乗り付けるなどしていたのに、市が黙認していたことが県警の調べでわかった。市は「同容疑者の恫喝(どうかつ)がトラウマとなり、適切な指導が出来なかった」と県に説明しているという。
調べでは、青山容疑者は、03年1月の生活保護受給申請時に外国産の高級車を所有。国の規定では受給者の車の所有については原則通院などに必要な最小限のものとし、2000ccを超える車については廃棄を指導するよう定めている。しかし市は生活保護の支給開始を決めたという。
その後も同容疑者は車を国産高級車に買い替え、度々市役所に乗り付けるなどしていた。車は自宅駐車場に止めていたという。
職員の自宅訪問時、「お前では話にならないから県知事を呼べ」などと一方的に職員に因縁をつけることも度々あり、歴代担当者の間で「処遇困難」として引き継がれていた。市は廃棄を要請したが、聞き入れてもらえず、「職員が恫喝を恐れ、指導はままならなかった」としている。