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暴力団周辺者も関与 ウナギ偽装 ラベルに架空会社 2商社へ手数料4000万円 (1/2ページ)
魚秀の産地偽装で、同社が暴力団の周辺者に手法を相談し、架空会社を製造者と記載した偽装ラベルを作らせていたことが26日、関係者の話で新たに分かった。代金の支払いを受ける際も、偽装を知らない2商社と架空会社を経由させて、発覚を難しくさせていた。魚秀は、謝礼や代金、手数料などとして、この暴力団周辺関係者側に数千万円以上、2商社に4000万円を流していたが、それでも偽装販売で約2億円近い利益を得ていたという。
一色フード
中国産のかば焼き256トンを「愛知県三河一色産」と偽装表示していた魚秀。関係者によると、中谷社長ら幹部は、手法について、徳島県の暴力団周辺関係者に相談。偽装ラベルを張って、かば焼きを箱詰めする四国の業者も紹介してもらい、その業者に“偽装表示”を委託。その料金や謝礼などとして、魚秀から周辺関係者側に流れた資金は数千万円以上とみられる。
こうして製造された偽装ラベルには、製造者として「一色フード」という架空会社を記載。住所は「愛知県岡崎市一色町字一色」となっていたが虚偽。その場所は山の中で、会社らしき建物は一戸もなかった。
隠蔽工作…
偽装されたかば焼きは、水産大手「マルハニチロホールディングス」の子会社「神港魚類」に販売。49トンは卸業者を通じ市場に販売された。神港魚類から代金7億7000万円を支払わせたが、その際も発覚しないように、徹底的な隠蔽(いんぺい)工作を行った。
魚秀が本当の製造者と発覚しないよう、7億7000万円はまず都内の商社に振り込ませ、その商社はさらに別の商社に資金を振り込んだ。その上で、魚秀は商社に資金を銀行から引き出させ、中谷社長や別の役員に手渡しさせた。手渡しは4回に分け、架空会社の製造を装うため、一色フード名で領収書を発行する徹底ぶりだった。
隠蔽工作は、1月下旬から2月中旬、魚秀の役員が2商社側に、偽装など細かい事情を一切告げず「神港魚類との取引」と持ちかけ、協力させていた。2つの商社には、それぞれ約3500万円と約500万円の手数料が支払われた。
商社の役員は「商品のウナギは見たこともなかった。業界大手の神港魚類と取引できると喜んだ。契約関係や過去の経緯から販売しにくい相手に、関係ない会社を経由させて魚を売るという行為は業界では珍しくない。手数料も高かったし、引き受けた」と話す。