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【法廷から】酒の勢いで失敗し続けて… (1/2ページ)
■誘惑断ち切れず…酒に酔った勢いで
「酒の勢いでカッとなってしまった。酒をやめなきゃいけないと理屈では分かっているが、1杯飲むと2杯になり、やめられません」
取り調べを受けているさなかに、警察官が作成した「酒酔い・酒気帯び鑑識カード」を破り捨てたとして、公用文書毀棄罪に問われた韓国人の男(43)の初公判が27日、東京地裁で開かれた。酒の勢いで何度も失敗しながら、誘惑を断ち切れない被告の姿があった。
起訴状によると、被告は5月4日午前1時ごろ、恐喝未遂の現行犯で逮捕され、警視庁新宿署で警察官の取り調べを受けた。その際、警察官が作成していた酒酔い・酒気帯び鑑識カードを破った。
検察側の冒頭陳述などによると、被告は中学校卒業後に土木作業員などの職を転々としていた。犯行当時は住所不定で、手配師や派遣業者の斡旋(あっせん)で日々の仕事にありつく生活だったという。
検察官はカードを破った経緯を「取り調べ当時の被告は酒に酔っている様子だったが、呼気の検査を拒否したため、警察官がカードへの記載を始めたところ、突然怒り出した」と説明した。
弁護人は被告人質問で、反省の態度を引き出すべく質問を始めた。しかし、被告は、飲酒について取り調べられたことを、今も納得していない様子だ。
弁護人「いま振り返って悪いことをしたと思っていますか」
被告「法を破ったことは確かです。酒も飲んでいました。しかし、自分は飲酒運転で捕まったわけでもないのに、なぜか、警察官は(飲酒について)調べようとした。それとこれとは違うでしょう」
弁護人「でも、容疑者が酒に酔っていたら、酒の影響がどのくらいあるのか、警察官が取り調べるのは当たり前のことだと思いますが」
弁護人の“正論”に小声で「はい」としか返せなかった被告。弁護人は事件に至った経緯を振り返った。
弁護人「今回の事件は飲食店での恐喝未遂がきっかけになっている。恐喝しようとしたのですか」
被告「違います。それまで自分は飲んでいて、友人と合流して一緒に飲みに行こうとしただけです」
弁護人「店では飲んだのですか」
被告「飲まないで店長と話していました」
弁護人「それでは、なぜ店に警察が来たのですか」
被告「店の人が呼んだのでは。恐喝をしたわけではありません」