Vol.15 No.567  (2008年05月14日  水曜日)

関空、07年度発着回数過去最高−第2滑走路整備条件をクリア

関西国際空港株式会社は、07年度の発着回数が前年度比10.7%増の12万8943回で過去最高だったと発表した。同社は政府から昨年8月に供用を開始した第2滑走路の施設整備の条件として13万回程度の発着回数が求められていた。村山敦社長は「燃料費の高騰などの逆風が吹いている中で、13万回に近い数字がでており、これでほぼ目標を達成したと言える」と述べた。
 同日発表した08年度事業計画では、国際線8万5000回、国内線5万2000回の合計13万7000回の発着回数を目標に設定した。また夏期の国際定期便運行計画によると、ピーク時(08年8月)で、過去最高を記録した07年夏期を32便上回り週814便となる。
 目標がほぼ達成されたことにより、2期島の貨物用駐機場など今後の施設整備促進が期待されている。

問合せ先:関西国際空港株式会社 経営戦略室広報グループ
電話:072−455−2201
URL:http://www.kiac.co.jp/



大阪のビジネス街・中之島で、ビーチバレー女子世界大会開催−5月21〜25日

北京五輪予選を兼ねた「2008FIVBビーチバレーワールドツアー日本大会」の概要が発表された。
 日本開催は3年ぶりで、5月21〜25日に大阪市・中之島公園(写真)で開催。大都市の中心部のビジネス街で国際大会を開催する国内初の試みで、集客効果・ビーチバレーの知名度アップが期待される。競技は関西の中心部を流れる淀川の砂を用いた特設コートで行う。31カ国66組がエントリーし、日本からは佐伯・楠原組、田中・小泉組、浦田・鈴木組、浅尾・西堀組の4組が出場する。五輪出場枠は24組、1カ国2組までで、開催国枠として中国は既に1枠決定している。

問合せ先: 大阪市ゆとりとみどり振興局スポーツ部競技スポーツ担当
電話:06−6615−0935
URL: http://www.city.osaka.jp/



外国特派員が、3つの「G8サミット関係閣僚会合」開催地を取材−第71回プレスツアー

KIPPO(関西広報センター)では、関西で開催される3つのG8サミット関係閣僚会合を前に、4月23〜25日に第71回プレスツアーを、兵庫県、大阪府、京都府で実施した。
 7月7〜9日開催の北海道洞爺湖サミットに先立ち、関西では、環境相会合が神戸市で5月24〜26日、財務相会合が大阪市で6月13・14日、外相会合が京都市で6月26・27日に開催される。
 3府県のプレスツアーの初めに、それぞれのサミット関係閣僚会合の地元協力組織トップへのインタビューを通して、会合開催に向けた意気込みを取材。
 1日目の兵庫県では、全国唯一“防災”を専門とする「環境防災科」を設置している県立舞子高校を訪れ、自然環境や社会環境と防災の関係を学び、地域防災のリーダーを目指して学習する生徒にインタビューを行った(写真)。
 2日目の大阪府では、世界的な次世代ロボット研究拠点「ロボットラボラトリー」で、人と協働して生活の質を向上させる次世代ロボットの最新情報を取材。
 3日目の京都府では、現存する日本最古で重要文化財の公家住宅「冷泉家」を訪問。現当主夫人の冷泉貴実子さんから、代々伝わる文化財や伝統を守り伝える活動を聞き、また、源氏物語千年紀展の取材も行った。
 在京の外国特派員15名(14社、9カ国・地域)が参加した。



全国初、福井県内全域の公共交通の乗り継ぎ情報を一括検索

福井県は4月14日から、県内全域の公共交通機関の情報を一括して検索できるシステムの運用を開始した。公共交通を利用しやすくすることで、マイカーの利用を抑制しCO2の削減により地球温暖化防止につなげる「カー・セーブ推進事業」の一環。自治体が管内の全公共交通機関の情報を一元的に提供するシステムは全国初という。
 同システムは、県内の鉄道3社(6路線)とバス5社(72路線)のほか、17市町の全コミュニティーバス95路線の情報を網羅。検索画面に出発駅・停留所と到着駅・停留所、日付、時間を入力すると、移動パターンが複数表示され、所要時間や運賃が一目で分かる。発着地点の登録には、駅・停留所の名前を直接入力する以外に、周辺地図や交通機関名、施設名からの検索もできる。
 同システムは、県ホームページから閲覧ができ、パソコン、携帯電話、QRコードで利用できる。

問合せ先:福井県総合政策部総合交通課
電話:0776−20−0291
URL: http://www.pref.fukui.jp/doc/sokou



東洋初のロボット「学天則」、80年ぶり復元

80年前に大阪で製作され、東洋初のロボットとして話題を集めた「学天則」を、大阪市立科学館がこのほど復元した。(写真=大阪市立科学館提供)
 復元された学天則は金色の体で机に座った姿。高さ約3.2メートルあり、動力源に当時と同じように圧縮空気を用いて、目・頬・口などの動きで表情をあらわし、首・両腕・胸なども動く仕組み。右手にかぶら矢のペンを持ち、インスピレーションを感じると左手に持った「霊感燈」が光る。
 「天の法則(宇宙や自然界の法則)に学ぶ」が名前の由来。生物学者の故西村真琴博士が1928年に製作し、日本各地の博覧会などを巡回し人気を博したが、欧州の博覧会に出展後、行方不明になったという。同館で7月18日から一般公開。来館者に科学に対する興味を高めてもらえればという。

問合せ先:大阪市立科学館
電話:06−6444−5656
URL:http:// http://www.sci-museum.jp/



【関西イベントファイル】 5月‐8月

◆G8環境大臣会合(兵庫5/24〜26)◆G8財務大臣会合(大阪6/13〜14)◆G8外務大臣会合(京都6/26〜27)◆那智の火祭(和歌山7/14)◆祇園祭・山鉾巡行(京都7/17)◆天神祭(大阪7/25)◆第90回全国高校野球選手権大会(兵庫8/2〜17日間)◆阿波おどり(徳島8/12〜15)◆春日大社中元万燈籠(奈良8/14〜15)◆大文字五山送り火(京都8/16)



Kansai Information:堺市、「自由都市・堺 平和貢献賞」を創設−堺から世界へ平和を発信

堺市では、アジア・太平洋地域を中心に国際的な平和貢献活動を行った個人や団体を表彰する「自由都市・堺 平和貢献賞」を創設した。国内外の有識者、学術機関等から推薦された候補者の中から、7月に開催する選考委員会で授賞者を決定。秋に授賞式を実施する。
 古代から海外と交流し、国際貿易都市として発展した歴史を持つ堺市は、この賞を通じて、世界に平和と人権の大切さを発信するとともに、市民の国際協力・貢献への認識を高めていく。
 授賞者を決定する選考委員会の委員は、元国際連合事務次長の明石康氏、京都大学名誉教授の上田正昭氏、大阪大学名誉教授の川島慶雄氏、裏千家前家元の千玄室氏、法政大学法学部教授の多谷千香子氏の5名。
 4月4日には、木原敬介市長と選考委員会委員による座談会を開催し、堺市が平和貢献賞を創設する意義や今後の展望などについて話し合った。(写真)
 木原市長は「堺市は自由と自治の精神で時代を切り開いてきた都市。この賞を通じ、都市としてできる国際平和の実現に貢献したい」と語り、各委員からは、「古代から栄え、中世には自治都市として繁栄した歴史を持ち、また、幾度もの戦禍から再建した堺市が、この賞を創設することは象徴的な意味を持つ」「平和と人権を結びつけ、メッセージ性をもって贈る賞は、国内外に大きな波及効果を持ち得る」などの意見が出され、賞に対する期待が寄せられた。

問合せ先:堺市市民人権局人権企画課
電話:072−228−7159



Kansai in Focus: 中之島の夢−ミニ・マンハッタン化

徳川家康が豊臣を滅ぼした最後の戦である「夏の陣」で、当時の大坂の街並みは荒廃していた。勝利者になった家康は、街の復興と民生の安定を狙い、豪商・淀屋常安らに再開発させた。それが、今、市民が「大阪のマンハッタン」と称する中之島の始まりだ。
 本物のマンハッタンと比べれば箱庭程度の小さな地域だが、江戸期には間違いなく日本経済の中心地であり、世界最初の先物取引システムが出来た米市場や手形交換所発祥地など「商」にかかわる歴史遺産は枚挙に暇がない。元禄時代の江戸は世界一の大都市で、人口は100万人を超えていたが、大坂・中之島はその江戸を含む日本の「台所」だった。
 栄枯盛衰は世の習い。江戸時代から明治、大正の黄金期中之島は豪商たちが闊歩していたのだが、この半世紀余、急激に活力を失い、もはや中之島は「豪商たちの夢の跡」にすぎない。それでも大阪市庁舎、日本銀行大阪支店、旧財閥系の住友、三井グループの関連ビル、朝日新聞大阪本社などなどが軒を連ねており、ビジネスの立地条件としては一等地。そこで、今、平成の中之島大復活が進む。
 最大の目玉は東西に細長い中之島を貫く地下鉄の京阪中之島線の建設。京都と直結する一方、大阪市内を南北に走る地下鉄と数カ所で連絡することになる。
 この地下鉄計画を下敷きに、住友商事や三井物産などの大手商社は、すでに高層ビルを完成。老舗のビル会社・ダイビルも高層に建替え中。島の東西の中央部に位置する朝日新聞大阪本社も、高層ツインビルの建設(本社建替え)計画を発表。島の北側の堂島川、南側の土佐堀川を挟んで、歩調を合わせるように高層マンションの建設ラッシュも続いている。経済情勢にもよるが、このままのペースだと、中之島はそれとなくミニ・マンハッタンのようにならなくもない。
 地域を管轄する大阪市にとって、御堂筋と中之島はビジネス誘致の「財産」でもあり、水都のイメージをアピールしながら、周辺環境の整備にも積極的に取組んでいる。
 だが、ビルや公園や水辺という物理環境の整備だけでは街に命は吹き込めない。川に囲まれた江戸時代の中之島は、物資の大量輸送が船だったこともあり、必然的にモノとヒトの行き交う中心地になったのだが、今はすべてが空を飛んで行き交い、離合集散する時代だ。中之島に地の利はない。
 「かつての豪商たちは、大名たちと商いをするためにも、武士たちに負けないレベルの高い知識と教養を身につけ、中之島は文化の発祥地にもなった」と、大阪大学の鷲田清一総長。商家が学費をだして子弟らを教育する懐徳堂(民間の塾)を盛り上げ、懐徳堂を中心に大阪の商人文化が花を咲かせた。懐徳堂で教わる経済学は当時では世界レベルに達していた。
 翻って現代の中之島は、まだ、物理的再開発のレベル。鷲田総長は「21世紀の懐徳堂」計画をこの4月からスタートさせた。新たな中之島文化が芽生えるとき、「中之島の夢」が実現に向けて歩き始めるのだろう。(田原)