「母さん。授業時間に演劇をやるけど、私は牛のマスクを持っていかなければならないんだけど」。京畿道高陽市(キョンギド・コヤンシ)の一山(イルサン)新都市に住んでいる父兄のA氏は、小学校5年生の息子の話に、あまり深く考えることもなく牛のマスクを準備した。
それから数日後、A氏は学校のホームページを見てびっくりした。数人の生徒が狂牛、デモ隊、放送リポーター役に扮し、米国産牛肉の輸入に反対するろうそくデモを再演するものだった。模型のろうそくと「李明博(イ・ミョンバク)OUT」「李明博出ていけ」という掛け声が書かれたピケットも見えた。
写真を見たA氏は、「ましてや教師が、まだ批判意識が確立していない子供たちにこんなことをさせるなんて」と怒りを覚えた。
授業を行った教師は、「放送を扱う国語の授業時間に、子供たちがアナウンサーと記者になって特定の状況を再演した。ろうそくデモがニュースでたくさん取り上げられるので、子どもたちが進んで、そのテーマで再演したいととして準備をしただけで、特定の意図を持っ計画した授業ではない」と答えた。
同校で英語を教えるコ某教師は、8クラスの生徒たちに狂牛病論争を取り上げたEBSの番組「知識チャンネルe―17年後」の動画を見せた。
英国で発生した狂牛病を取り上げたこの動画はよろける牛、狂牛病にかかって死んでしまったという猫、人間狂牛病で死亡したという女子大生を紹介している。
父兄のB氏は、「子供たちが誤った解釈を下せるような、敏感な内容が盛り込まれたビデオを見せれば、生徒たちがどう受け止めるだろうか」と声を荒げた。同校5年生を担当するある担任教師も「普段ニュースをあまり見ない子供たちが狂牛病を取り上げた動画を見て、少なからぬ精神的ショックを受けたようだった」と伝えた。
しかし、コ教師は「子供たちが引き続き『狂牛病って何』『米国の牛だけにかかる病気か』などと質問し、動画を見せてあげた。小学校の教師らが授業の資料を共有するサイトからダウンロードした動画を見せただけだ」と主張した。そのうえで「個人的にろうそく集会に出たこともない。教師の個人的な見解が入ったわけではなく、子供たちが知りたがることを教え、時事問題を取り上げるレベルで授業を進めた」と加えた。
|